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しかし、これからはどこかの土地にしがみついてその付加価値を高めるのではなく、「一生」に懸命だと考える。「生」は生産性でもいいし、生命でも、ライフスタイルでもいいわけです。自分にとっての「生」とは何かを考え抜くことが大事です。
経済激変で求められる意識のイノベーション
昆 ここ数年、農水省の政策も様変わりしましたが、政治家として今後の流れをどう見ていますか。
大塚 私たちの世代が最前線に立っている間に新しい国家モデルを構築していかなければいけません。農業政策も論理的必然はもう見えており、2010年前後には大きな変化が現われると思います。
少し専門的な話になりますが、世界経済の枠組みは、すでに「ブレトンウッズ体制」から「バーゼル体制」に移行したと私はとらえています。ブレトンウッズとは、第二次世界大戦の終わり頃、国際会議が開かれた米国の都市です。連合国が集まって、今後の世界経済をマクロ経済で回していこうと決めた。つまり景気が悪くなったら、財政を拡大して金融を緩和する。この仕組みによって世界が繁栄するという考え方でした。
ところが、この仕組みは行き詰まり、87年スイスのバーゼルに本部をおく国際決済銀行(BIS)で自己資本比率規制がスタートしました。世界共通のルールと国際会計基準の下、ボーダレスな市場を作ることになり、もう予算のばらまきでは経済は回らなくなったのです。
2006年からは、さらに新たなBIS規制が始まります。銀行の貸し出しが不良債権かどうかを認定するために、借り手がきちんとした財務諸表を作っているかまでが問われるようになります。
世界経済のメカニズムがそういう流れに変わり、農業もその中にあることを農業者は意識した方がよいでしょう。もはやお天道様と土と農産物のことだけわかっていれば済む時代ではない。意識改革、いや意識のイノベーションが必要となります。
(まとめ・秋山基)
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大塚耕平 オオツカコウヘイ
参議院議員(民主党・愛知県)
1959年名古屋市生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、日銀入行。システム情報局調査役、政策委員会室国会渉外課調査役などを経て、2000年退職。同年、早大大学院で博士号取得。専門は財政金融論、行財政改革論。2001年愛知県選挙区から参院当選。現在、民主党政調副会長、ネクスト総務総括副大臣。著書に「公共政策としてのマクロ経済政策」
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