ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

第二十三章 投資の心構え(4)減価償却と負債償還計画のバランス


最近のトラクターは、とくに装備品が優れており、精密農業が技術向上のカギを握っている。本来であればトラクターは単に引く道具で、何でもよく、作業機のほうが重要である。所要馬力を備え、電気がとれて油圧があれば、どんな作業にも挑戦できる。作業機にそんなコントロールを求めたい。
(ト)得をした、(ラ)楽になった体はね。(ク)苦労するのは、(タ)多額の支払いよ
お後がよろしいと自賛して、投資の話題に入るとしよう。

減価償却とキャッシュ・フロー

投資の項も4回目になるが、先月に引き続き、減価償却に焦点を当てたい。機械や建物を購入すると、帳簿上は減価償却で処理されるため、支払いや負債の発生・償還に伴うキャッシュ・フローの変化とは時間的なギャップが生じる。資金調達を負債で行なった場合には、償還計画と新たな投資の見極めが経営の維持、発展には欠かせない。
まず、財務諸表とキャッシュ・フローを並べて比べてみよう。図1は桃太郎が新規就農した際の開業仕分けから就農4年目までの経緯を、財務2表はお決まりの6つの数字で、キャッシュ・フローはお気に入りの水槽で示したものである。
減価償却費の動きに着目してお金の流れについて考えてみよう。開業時には、借入金160万円と元手40万円を合わせると200万円となり、資産は現金200万円という資産構成となる。すぐさま目星をつけた中古農機を160万円で買い、資産構成は40万円の現金と減価償却資産160万円になる。借入金がそのまま資産に変わっている。1年が過ぎ、経営成果は収益100万円、かかった費用は40万円。減価償却費も40万円で、負債の返済金が40万円。160万円の農機への投資は、4年かけて回収されたことになる。
この動きは水槽を見たほうがわかりやすい。調達した資金が貯まり、支払った費用が流れ出し、回収が進んだことが一目瞭然であろう。
ここまでは負債で投資することを前提にしてきたが、自己資金で行なう投資には、どのような注意点があるだろうか。桃太郎が200万円の元手を持ち、借入を起こさないで経営を始めたとすると、減価償却費と利益の60万円が4年間蓄積できることになる。
利益が借入と同様に順調に得られれば、200万円を運用すると4年間で80万円増え、そのときの貸借対照表の現金(資本)は280万円、運用益は年10%と上々だ。桃太郎の場合は、無利子、無税を前提にしていたため、自己資金と同じ運用で回収できたが、次の元手となる資本量は負債を利用した場合120万円だったところが、自己資本による投資だと2倍以上の280万円になる。

関連記事

powered by weblio