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アルパカファームの経営・労務事件簿

取引契約書を対等な関係で結ぶ


伝法院 新たな販路をつくるために生産者同士で出荷団体を結成する動きはそれぞれの地域で活発に起きています。これからの農業経営に「販売」というキーワードは外せません。
しかし、いまはまだ、取引先の大手スーパーなどが実権を持ち、一方的に契約書を突きつけられることも、少なくないと聞きます。
これからの時代の直接流通には、出荷側も販売側も、立場は関係なく、パートナーシップを組んでいく必要があります。その第一歩として、一方的に受け入れるのではなく、出荷側からも条件を提示してもいいのではないでしょうか。強気な姿勢を示すためにも、出荷団体の生産する農作物のクオリティや種類は、これまで以上に求められます。
藤田 そのためにも、こちらが不利を被らない契約が大切になってくるわけですね。

今回の執筆者
志村直樹(しむら なおき)
行政書士/
(有)人事・労務パートナー/
国際技術事業協同組合顧問
人材派遣会社にて、長年にわたり製造業派遣や女性の就業等、雇用に関するコンサルティング業務に従事。2013年に行政書士志村法務事務所を開業。現在は外国人が日本で働くためのビザの申請や、外国人が日本で起業する場合の手続き、コンサルティングを行なっている。

良い関係性を築くための出荷取引契約書

現在の農業経営において、単純に生産量を増やしていく「規模の経済」では、生計を立てるのが難しくなってきています。とはいえ、たとえば自分でお客さんに対面で販売したり、スーパーなどに売り込みにいくのも手間がかかりますし、最近流行の有機農業だって、どこでも誰でもうまくできるというわけではありませんので、必ず売れるという保証はありません。
だからこそ、地域の中で信頼し合う仲間とともに、「個人」ではなく数名で「チーム」を組み、出荷体制をつくることをお勧めします。

【まだ多い生産者に不利な契約】

長野県佐久穂町では、30代の若手農業経営者3軒が連携して、任意の出荷団体をつくり、2軒の取引先と出荷契約を結んでいます。そのうちの1軒が農業生産法人で、この地域に20年前に新規就農しました。もう1軒は5年ほど前に新規就農し、当時からこの農業法人にノウハウを教わり、もう1軒は農業法人で研修を受けて独立したという背景を持ちます。
この法人の社長の息子さんが、同世代である他の2軒の農業経営者とプライベートでも仲が良く、遊びのなかから出てきた「契約出荷したいなあ」という言葉から、実際に地元農協に相談したところ、農協経由で取引先を紹介してもらい、いまでは2軒の出荷先と取引をしています。

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