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トウモロコシのはなし

流通や肉牛生産・販売の立場から国産子実トウモロコシをどう考えるか


あとは収穫用の機械の問題です。収穫時期が重なることなどを理由に機械を自分で持ちたがる人が多いでしょうが、レンタルなどで共用し、初期投資を抑えていくべきだと思います。いろいろ工夫されているようなので、その辺りは今後の状況を見ていきたいですね。

国産飼料の意義に賛同する
ファンをつくれば売れる

――国産子実トウモロコシを飼料として使用する場合、畜産農家、肉の買い手のコストアップにつながりますが、その点は受け入れられると思いますか?
山本 黒毛和種かほかの品種なのかにもよるでしょうね。A5、A4クラスになると、一部の鉄板焼きレストラン向けというような売り方をすれば、可能でしょう。ただ、市場流通では価格に転嫁はできないので、やはり生産者が自分で肉を買い戻して、自ら売っていくことが原則にはなります。もしくは、食肉センターやバイヤーが一緒になってブランドづくりをやる案もありますね。
僕個人としては、昔に比べて畜産物を1頭1頭差別化して売ることができる時代になってきていると感じています。「血統も日本の和牛、さらに国産100%の飼料で育てています」という商品ができたら、販路は十分あると思います。
一方で、畜産農家で自分たちの使っている飼料を肉質のおいしさ基準で選びたい、国産にしたいと考えられる農家はごく少数派でしょう。ですが、最近は消費レベルでそれが問題だと思う人が出てきたり、味について飼料の影響を指摘する人が増えてきたりしているのも事実です。
僕の関わっている牛肉業界では、牛肉ブームといわれて久しいけれど、品種、飼料、育て方で味が変わるという基本情報や味の方程式がまず伝わっていなかったり、非常に表面的で浅い理解しかしていないという買い手がいる一方で、どういう飼料を食べさせればどういう味になるかということに関心を払うコアな料理人も出てきています。A5ランクの肉のユーザーは以前から飼料にこだわりを持っていることが多い傾向もありますね。まだマーケットの3%程度ですが、そういう需要は確実に存在しているわけです。
そのような人たちに理路整然と国産子実トウモロコシの意義を説明していけば、理解を得ることはできると思います。輸入トウモロコシの輸送期間などを考慮すれば、国内で確保できるもののほうが品質を保証しやすいでしょう。そういうロジックを組むことができれば、問題なく売れると考えます。
実際に僕はインターネットを通じて自分の育てた牛がどういう環境で育ったか説明しながら売っていて、それに賛同してくれる人が購入してくれて、牛肉は必ず売り切れます。その経験があるから、ファンを作って売っていけば確実に可能だと思えます。

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