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【土門「辛」聞】
農林部会長・小泉進次郎 振り上げた拳の行方
- 土門剛
- 第146回 2016年11月04日
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「党に提出した役職希望書では、最大5つ書ける職責欄に『農林部会長』とだけ記した。現在の党部会長14人のうち、続投は小泉氏のみ。部会長は党役員人事に合わせて約1年で交代するのが通例だけに、党の特別扱いがうかがえる」
続投は進次郎の強い希望だった。でもその動機が問題なのだ。進次郎には農林部会長のポストを離れられない事情があった。進次郎が手をつけた全農の生産資材価格引き下げが、秋に結論を出すと大見得を切りながら何ひとつ実現しておらず、部会長を引くに引けない事情があったのだ。
崖っぷちに追い込まれた進次郎が、党幹部にチャンスをくれと懇願しただけのことである。
進次郎の崖っぷちは、生産資材価格への素っ気ない全農の対応ぶりからうかがえる。シンボリックなのは、続投決定1カ月前の佐賀訪問。佐賀県農協中央会の会長を兼職する全農会長・中野吉實のお膝元だ。その中野が進次郎に、「現場を見て欲しい」と誘った。訪問した翌日の7月27日付け佐賀新聞は、進次郎の佐賀訪問の来意をこう伝えていた。
「生産コスト削減の責任を負う全農の改革が今後の本丸になる」
進次郎は、敵陣に乗り込んで、中野から価格引き下げについての同意を取り付けようとしたものの、相手にされなかったみたいだ。7月27日付け朝日新聞が詳しく伝えている。
「視察終了後、小泉氏は記者団に『中野会長がどうして反対をするのかを知ろうと敬意を表して地元に来たが、残念ながら考え方に開きがある。こちらはあるべき方向に(改革を)進めていくしかない』などと語って中野会長を批判。中野会長はその後記者団に、『改革には取り組んでおり、方向性は一緒だ』と説明した」
全農が進次郎の要請に応じないのはなぜか。残念ながらそれに触れた新聞記事は見当たらない。両者が水面下で激しく争うものがある。全農を株式会社に転換させる問題だ。株式会社化は昨年の農協改革で正式決定した。政府は、その早期実現を全農に促している。全農は猛反対だ。協同組合であることの既得権を失うことを恐れているからだ。
進次郎の崖っぷち
続投は進次郎の強い希望だった。でもその動機が問題なのだ。進次郎には農林部会長のポストを離れられない事情があった。進次郎が手をつけた全農の生産資材価格引き下げが、秋に結論を出すと大見得を切りながら何ひとつ実現しておらず、部会長を引くに引けない事情があったのだ。
崖っぷちに追い込まれた進次郎が、党幹部にチャンスをくれと懇願しただけのことである。
進次郎の崖っぷちは、生産資材価格への素っ気ない全農の対応ぶりからうかがえる。シンボリックなのは、続投決定1カ月前の佐賀訪問。佐賀県農協中央会の会長を兼職する全農会長・中野吉實のお膝元だ。その中野が進次郎に、「現場を見て欲しい」と誘った。訪問した翌日の7月27日付け佐賀新聞は、進次郎の佐賀訪問の来意をこう伝えていた。
「生産コスト削減の責任を負う全農の改革が今後の本丸になる」
進次郎は、敵陣に乗り込んで、中野から価格引き下げについての同意を取り付けようとしたものの、相手にされなかったみたいだ。7月27日付け朝日新聞が詳しく伝えている。
「視察終了後、小泉氏は記者団に『中野会長がどうして反対をするのかを知ろうと敬意を表して地元に来たが、残念ながら考え方に開きがある。こちらはあるべき方向に(改革を)進めていくしかない』などと語って中野会長を批判。中野会長はその後記者団に、『改革には取り組んでおり、方向性は一緒だ』と説明した」
全農が進次郎の要請に応じないのはなぜか。残念ながらそれに触れた新聞記事は見当たらない。両者が水面下で激しく争うものがある。全農を株式会社に転換させる問題だ。株式会社化は昨年の農協改革で正式決定した。政府は、その早期実現を全農に促している。全農は猛反対だ。協同組合であることの既得権を失うことを恐れているからだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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