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【北海道馬鈴薯でん粉物語】
馬鈴薯でん粉工場の産・排出資源の利活用 工場排水や排出液などの活用
- 農学博士 村井信仁
- 第17回 2016年11月04日
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せっかく整えた水利の利用が少なくなってしまうことは問題である。欧米では畑地かんがいが盛んに行なわれているので、我が国でもこれを検討してはどうかとされた。そもそも我が国は降水量の多い湿潤地帯であるので、畑地かんがいは無意味だとする反論があった。欧米の場合は、降水量が少なく、畑地かんがいに依存しなければならない地域が多いので、我が国とは条件が異なるとされた。
我が国ではほとんど畑地かんがいが行なわれていなかったので、実験してみる価値があると十勝や網走で試してみることになった。政治的な思惑もあったであろうが、要所に配管するなどしてかなりの規模の実験であった。案の定、十勝では散水によって地温が低下し、減収したなどと報告された。ところが、畑地かんがいは無理かと考えられたが、時代が変わると北海道に野菜作が増えてきたのである。交通や運輸が発達し、短時間で大消費地の内地に輸送できる。北海道は農家の経営規模が大きいので、一定の品質の野菜を大量生産できる。大手のスーパーは安定供給を求めるので、北海道の野菜の需要が拡大した。
野菜作については、畑地かんがいは重要な役割を果たす。苗を移植して干ばつが続けば活着は困難になる。こんな場面で散水すれば、安定した生育を示すものである。野菜作の振興によって畑地かんがいの位置づけは高まり、必要不可欠なものとなった。畑地かんがいは野菜作によって救われたと言えよう。全道に普及するようになった。
さて、十勝や網走の配管はその後どうなったであろうか。まだ野菜作が増えていない時代のことであり、なんとか活用できる道を探さねばならない。そこで地力増進を兼ね、でん粉工場の排水を草地や畑地に散布するのがよいとされた。さっそく内容を分析し、どれくらい散布するのがよいか現地試験が行なわれた。効果が認められ、実際に農家に散布することになった。
我が国ではほとんど畑地かんがいが行なわれていなかったので、実験してみる価値があると十勝や網走で試してみることになった。政治的な思惑もあったであろうが、要所に配管するなどしてかなりの規模の実験であった。案の定、十勝では散水によって地温が低下し、減収したなどと報告された。ところが、畑地かんがいは無理かと考えられたが、時代が変わると北海道に野菜作が増えてきたのである。交通や運輸が発達し、短時間で大消費地の内地に輸送できる。北海道は農家の経営規模が大きいので、一定の品質の野菜を大量生産できる。大手のスーパーは安定供給を求めるので、北海道の野菜の需要が拡大した。
野菜作については、畑地かんがいは重要な役割を果たす。苗を移植して干ばつが続けば活着は困難になる。こんな場面で散水すれば、安定した生育を示すものである。野菜作の振興によって畑地かんがいの位置づけは高まり、必要不可欠なものとなった。畑地かんがいは野菜作によって救われたと言えよう。全道に普及するようになった。
さて、十勝や網走の配管はその後どうなったであろうか。まだ野菜作が増えていない時代のことであり、なんとか活用できる道を探さねばならない。そこで地力増進を兼ね、でん粉工場の排水を草地や畑地に散布するのがよいとされた。さっそく内容を分析し、どれくらい散布するのがよいか現地試験が行なわれた。効果が認められ、実際に農家に散布することになった。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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