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搭載スラリーポンプの能力は、液中ポンプであるので吐出量が多い。これが高能率散布作業を可能にしている。散布幅は約12mであり、散布量のばらつきも少ない。
施設にスラリーポンプを装着したトラクターを配置し、スラリーローリーにポテトジュースを汲み上げてやる他給式の場合のトータル利用経費を試算してみた。t当たり545円の経費で散布できる計算であるので、経費は割安と言えよう。機械関係は2分の1の政府の補助金が出るので、圧縮計算ではt当たり394円とさらに割安になっている。
スラリーローリーの開発は6t車から始まったが、さらに高能率を要求されて8t車から10t車へと拡大した。そんなに大型化して大丈夫かと一抹の不安があったが、意外と違和感がなかった。これはトラクターの場合と同じことである。昭和30年(1955)ごろ、30馬力のトラクターは大きく見えた。やがて80馬力のトラクターが一般化すると、30馬力のトラクターは小さく見え、小型トラクターと言われるようになってしまった。
10tのトラックのほうが生産量が多く、それだけに技術の面でもハイレベルなのだそうである。10t車がいつの間にか主流になって圃場を縦横無尽に走り回る時代になってしまった。
図2・3に踏圧の状況を示したが、タイヤが6tよりも大きくなっているので、6tの場合に比較して大きな変動はない。その昔、トラックの運転手は「輪っぱ回し」と呼ばれ、腕力の強い者でないと運転手になれなかった。現在は油圧ステアリングになっているために誰でも運転できる。能率試験のときに農家のおかみさんが乗って、落ちついた運転をしていたのには時代の流れを感じた。
合理化でん粉工場もさらに近代化され、工場の数を減らしている。技術の進歩には際限がないと言えよう。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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