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【今月の数字】
米国のコメの生産費
- (株)結アソシエイト 代表取締役 松田恭子
- 第9回 2005年02月01日
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15,067円/10a
米国における2002年産のコメの全生産費(家族労働費や自作地地代も含めたもの)は、1万5067円/10a。それに対して米価は60kg当り546円と低迷し、粗収益は7210円/10aと全生産費を大幅に下回っている。
しかも2002年だけが下回っているのではない。少なくともここ4年は、家族労働費や自作地地代を差し引いてもなお赤字続きである。米国には米国の生産構造の特徴があるから、生産費の合計だけを日米で比較して輸入脅威論を唱えるのは意味がない。
そこで費目別の数字を比べてみる。「日本は地価が高く米国の45倍以上だから生産費が高い」とよく言われるが、地代で比べると7.9倍と費用計の倍率より低い。地価のせいにするのは“逃げ”ではないか? 新規参入者は農地を買いたいとは思っていない。問題なのはむしろ圃場の分散、作業効率だ。
米国と比べて圧倒的に高いのは、家族労働費だ。実に38倍である。なぜこんなに高いのか。日本の場合、10a当り労働時間は雇用が1.47時間、家族は30.92時間(2003年)である。米国は雇用が0.47時間、家族は0.56時間!ウソかと思うほど低い数字である。詳細をチェックしてみる必要はあるが、それにしても作業効率は段違いである。
競争力の差は土地よりも人件費、それも労働時間にある。制約となっている労働時間をいかに短縮するか、作業をいかに効率的に管理するか。技術や機械などの要因もからんでくるが、労働時間は短縮できないものだろうか。
(松田恭子)
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松田恭子 マツダキョウコ
(株)結アソシエイト
代表取締役
日本能率協会総合研究所で公共系地域計画コンサルタントとして10年間勤務後、東京農業大学国際食糧情報学科助手を経て農業コンサルタントとして独立。実需者と生産者の連携の仕組みづくりや産地ブランド戦略を支援している。日本政策金融公庫農業経営上級アドバイザー試験合格者。(株)結アソシエイト代表取締役。
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