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特集

本誌読者の座右の書

活字離れが叫ばれて久しい。いまやSNSも浸透し、日常的な話から栽培技術や機械の使用法といった込み入ったことまでいろんな情報交換がなされている。ただ、どんな方法で情報交換するにもある程度の教養がなければその輪に入っても楽しめるものではないだろう。アイデンティティーの確立を含め、読書があらゆる面で有用なことはいまさら指摘することでもない。そこで今回、本特集に関心を示してくれた本誌読者に座右の書などを聞いた。読書に年齢は関係がない。ここで挙げた書籍に限らず、必要なものを貪欲に吸収し、あすの農業経営に生かされたい。

『プリンシプルのない日本』
(新潮文庫)、白洲次郎

【強い意志と行動力、ぶっとんだ発想の源泉に】

そもそも私が本を読むようになったのは大学卒業後のことです。きっかけは酪農学園大学の恩師の言葉と友人の存在でした。
「君たちって、ほんとに本を読まないよね」
卒業後、実家で農業を始めました。農閑期には時間があるので隣町の友人と出かけるようになりましたが、これといってやることもありません。恩師の言葉が残っていた私は、友人と本屋に行き、2人で本を買っては読むようになりました。歴史上の偉人の本や企業の創業者の本など、人物を描いた本を読むことが多かったです。
そのなかで本や映画を通して私が尊敬するようになった人物が2人います。白洲次郎とチェ・ゲバラです。
座右の書といえば、白洲次郎が書いた『プリンシプルのない日本』といえるでしょう。彼は、日本が連合国軍占領下にあったとき、GHQのマッカーサー元帥との交渉に当たった人物で、吉田茂元首相のいわゆる懐刀です。
こんな逸話が残っています。昭和天皇からマッカーサー元帥にクリスマスプレゼントが届いたとき、マッカーサー元帥はテーブルの上がいっぱいだったため、床に置かせようとしました。それを見た彼はマッカーサー元帥を怒鳴りつけたのです。白洲次郎は、マッカーサー元帥に「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた男でした。
なぜ彼はマッカーサー元帥に対してそのような態度を取ることができたのでしょうか。その理由は英国に留学した経験があるためです。留学時代に英国紳士としてのあり方や筋を通す姿勢を身につけたのでしょう。
日本は占領されましたが、米国の奴隷になったわけではなく、日本人には意志があるので米国の言うとおりにする必要はないという考え方がありました。彼は英国で学んだプリンシプル、つまり原則に忠実であったと言われています。

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