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特集

本誌読者の座右の書


□人生に関して参考になった書籍
・2020年 農業が輝く(北海道新聞社)、 相馬暁
・他いろいろありすぎて書き切れず。
□経営全般に関して参考になった書籍
・夢の百姓(白日社)、横森正樹
□栽培技術に関して参考になった書籍
・新しい土壌診断と施肥設計(農山漁村文化協会)、武田健
□購読している定期刊行物
・ニューカントリー
・農家の友
□読書の習慣
・ほぼゼロ

『裏帳簿のススメ』
(アスコム)、岡本吏郎

【経営に対する考え方が変わった】

2008年に法人化したころ、財務関係の本を読み始めました。よく読んだのが税理士の岡本吏郎の本です。そのなかの一つの『裏帳簿のススメ』には、中小企業のお金の管理に対する考え方が書かれています。帳簿の付け方を解説しているのではなく、良い経営をするための財務の考え方が示されていました。私はこの本を読み、経営に対する考え方が変わりました。
決算書の勘定項目というのは、基本的に税金を徴収するために国税庁の定めたものです。たとえば、農業機械の減価償却は税金を徴収するために数年間に経費が振り分けられているものです。
私はいま、機械を購入するとき、支払った後に減価償却するのではなく、現金で一括支払いをしています。その原資は、交付金を貯めたお金を準備金として積み立てたものです。準備金というのは経費として決算書に計上できます。
準備金制度は07年の税制改正で導入されました。将来必要になるお金を前もって経費として積み立てられる制度です。確定申告をするとき、利益が出るとつい節税のために何かを購入して利益を少なくしようとしてしまいます。そうではなく、毎年出た利益を準備金として経費として計上します。それが貯まったら機械を買えばいいのです。そうすれば同じ金額の機械を購入する場合でも会社に残るお金が多くなります。
たとえば、1400万円の機械を買うとします。資金は自己資金か借入金かのどちらかです。借入金の場合、利息が発生しますから、それだけ会社の利益は減ります。自己資金の場合、減価償却にすると期間は7年なので、経費は年間200万円しか計上できません。また、自分の貯金で1400万円を一括支払いにする場合、それはすでに源泉徴収された後のお金を原資として会社に貸すわけですから、源泉徴収分は身銭を切ることになります。
準備金は積立て金ですが、毎年の経費として計上できますから、利息も税金もかからず、それだけ会社から出ていくお金が少なくなります。準備金の説明会では繰延措置だという説明を受けましたが、潤沢な資金がある団体とは異なり、資本金が限られている一農家、一法人にとっては減価償却に比べて大きな差が出ます。

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