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江刺の稲

大統領選報道の酷さと危うさ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第247回 2016年12月02日

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アメリカ大統領選挙の選挙速報の特別番組を見ていた。そこでコメントを述べる“識者”たちの言葉を聞いているとほとんどすべてがクリントンの当選を期待しているようだった。
英国のEU脱退を決めた国民投票を例えて「どうせ残留に決まるだろうと考えて投票に行かなかった人が、こんなはずじゃなかったという結果になるのではないか」とまったくのクリントン支持連合状態。トランプ優勢を反映して株価の急落を見て嘆息を繰り返す。さらに、票が開いていくと、少しずつ言葉を変えていく評者もいる。そして、アメリカ国民のトランプ支持を「世界に広がるポピュリズムの広がりであり、危険な状況だ」と識者の論説を開陳する者もいる。それを見ながらつくづくこの間のアメリカ大統領選報道の酷さを実感した。やがてトランプ当選が決まり、当選受諾演説以来のトランプの変貌ぶりに、当の報道機関を含めて人々はまたぞろアメリカから送られてくる報道を受け売りにして右往左往している。その様を見て僕はさらに危うさを感じている。
我が社の顧問である浅川芳裕から彼の新著『ドナルド・トランプ 黒の説得術』をもらった。「アメリカ大統領選はトランプの大勝利ですよ」と言う言葉を添えて。10月末のことである。
日本のメディアがクリントン勝利を予測することしかできなかったのは、彼らがアメリカの高級紙の記事やそれに準じる調査しか読んでいないためだと浅川はいう。それでは多くのアメリカ人がトランプを支持していることはわからない。共和党のエリート層でも公式の場ではトランプ支持とは言わないが、彼がアメリカで出会ってきた共和党エリートも懇親会やバーなどで個人的に話すとトランプへの共感を告白するという。

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