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今年の市場相場を読む

福島産野菜この5年震災前と現在 アスパラガス、ブロッコリー、ピーマン、キュウリ

震災後5年。福島産青果物の入荷状況や市場評価はどうなっているのだろう。全体としては、生産・評価とも回復傾向にはあるものの、まだ一部の品目を除いて平均価格や従来持っていた夏秋野菜の主産地としての地位は回復していない。震災前に比べて出荷が急減したため、補完的産地に格下げされているものも多い。他産地が福島産の出荷減を見越して生産振興を図ったことも要因である。福島県のJAの販売戦略が、拠点市場など指定市場を重要視して、他市場への分荷は少なかったという側面もある。震災前年の2010年と5年後の15年の東京市場での推移を見てみよう。

アスパラガス
35%も減って地位転落、求められる夏場の大型産地

【概況】
福島産のアスパラの東京市場への入荷量は、震災前の10年と5年後の15年を対比すると、数量で37%もの減少となっているが、単価は9%高くなっただけ。東京市場全体では数量減は12%にとどまり、単価は3割も高くなった。明らかに福島産の地位転落といえる現象だ。10年は、年明けからピークに入るメキシコがトップ産地で、春にピーク、秋まである佐賀産が2位。しかし夏秋産地では断然、福島が1位だったのだ。
【背景】
後述のキュウリを例外として福島産野菜は入荷数量が減り、それ以上に単価も他産地より安い。実際に東京市場のアスパラの入荷量は1割強の減少で3割高。対して福島産は、4割近く減っても1割も高くなっていない。これを「福島はまだ風評被害を被っている」と見ている。しかし風評そのものは関東地区では明らかに鎮静化した。したがって福島産の安値は急激な入荷減で、夏秋期に急成長した栃木・山形などに地位を奪われたということだ。
【今後の対応】
これまで福島県は、夏秋野菜の主産地として、全農や各JAが市場での主導権を握り、相場を作ってきた。だから多くの品目で産地希望価格を実現することができていた。JAの販売戦略も、拠点市場など指定市場への出荷を重要視して、相場が安くても指定市場への出荷を守っていたことも、福島産を「買い支える」意識を生んでいた。夏秋期に数量を持った大型アスパラ産地が望まれている。福島県中央通りから会津にかけて、産地拡大が待たれる。

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