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今年の市場相場を読む

福島産野菜この5年震災前と現在 アスパラガス、ブロッコリー、ピーマン、キュウリ


ブロッコリー
数量増加中で復旧途上、 埼玉から道産への重要な繋ぎ産地

【概況】
福島産の10年対15年比では数量で14%減、単価は9%高となり、復旧最中といったところ。一方、東京市場全体では、この5年で数量は18%も増え、単価も21%高くなった。ということは、北海道を筆頭に、夏秋期に北関東から東北にかけ、産地が大きくなったためだ。このブロッコリー成長期に福島は出荷減を余儀なくされてしまった。かつては、5~6月に埼玉や群馬と一緒に初夏のピークを作っていた。
【背景】
福島のブロッコリー生産は、かつての飛びぬけた6月ピーク型から、5~7月に平準化ピークを作る方向で、産地復活に努めてきた。今年の同時期にも、前年より1~2割の入荷増だ。しかし平均単価は、まだ他産地より3~4割安い。露地栽培ゆえの敬遠気運もあるだろうが、一部にはセリ人や買参人の意識の問題でもありそう。当初から、相場安は原発被害として価格補填されたため、セリ人も買参人も価格を支えようとしない傾向がある。
【今後の対応】
市場流通では、トップの主産地が相場を作る。数量の多い出荷の安定した産地から、大型流通と契約的な取引ができるからだ。そのため、価格を戻す本質的な対応策は、かつて福島県が果たしていた供給力を取り戻すことである。北関東から東北・北海道に向かう5~7月の時期と、東北から関東に戻る10~11月の端境期は、福島野菜がしっかりとした「繋ぎ産地」の役割を果たしていた。振興策を早急に実践する必要がある。何といっても「量は力」だ。

ピーマン
補完産地ゆえの回復、他産地とのリレーで需要者対応を

【概況】
ピーマンは、福島産野菜のなかでは数量がようやく復活した代表的な品目。10年対15年比では数量は1%ながら伸びており、単価も4%高くなった。東京市場全体でも数量は4%増えて単価も4%高く、順調な回復を見せているようだが、平均単価では全体の平均より福島産は16%も安い。しかし実は夏秋期の福島産は、そもそもが主産地の岩手・青森・茨城の補完的産地で、震災前でも単価は14%安い。元に戻っただけだ。
【背景】
震災直後には、ピーマンも大きな風評被害で安かった。一般的に相場が安ければ、仲卸などによって地方や中京・関西などに転売・転送され、相場が落ち着くもの。しかし、福島産に対する敬遠気運は福島県から遠くなるほど大きく転送が効かない。が、ピーマンは産地が外観では区別がつかない。その安さで、業務・加工用にはそれなりに売れた。それをテコに、福島は自力で生産と価格の回復に努めてきた。補完産地だからできたことだ。

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