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イベントレポート

アスパラガス「採りっきり栽培(R)」セミナー/明治大学農学部野菜園芸学研究室、パイオニアエコサイエンス(株)

11月5日、明治大学生田キャンパスでアスパラガス「採りっきり栽培」のセミナーが開催された。5月の新栽培法発表会に続く2回目のセミナーで、会場には全国各地から約180人が集まった。

常識を変えた
単年度「採りっきり」

現在、アスパラガスの作型には大きく分けて2種類ある。一つは春採り栽培で、夏以降は株養成に充てる。かつてはこの方法が一般的だった。もう一つは立茎栽培で、こちらは夏から秋にかけても若茎を収穫する。こうした慣行栽培での本格的収穫は通常定植後3年目からで、以後10年以上にわたって収穫し続ける例が多い。
これに対して、「採りっきり栽培」での収穫は定植翌年の春採りのみ(6月ごろまで)になる。採り終えたら株をすき込んでサイクルは終了する。
単年度の新栽培法という点では「伏せ込み促成栽培」も共通する。こちらは、茎葉が黄化して養分転流した株を掘り起こし、伏せ込み床に植え付ける。いわば養分転流が早い地域向きの栽培法だ。今回のセミナーでも群馬県での事例が紹介された。加温が必要だが、価格の高い冬期出荷が可能になる。
「採りっきり栽培」は、セミナーの主催者でもある明治大学農学部野菜園芸学研究室とパイオニアエコサイエンス(株)が共同研究で進めてきたものだ。
すでに「採りっきり」専用ともいえる品種も開発されている。「大宝早生」「クリスマス特急」「ウィンデル」「満味紫」(いずれもパイオニアエコサイエンス)。「満味紫」以外は伏せ込み用の品種でもある。
「採りっきり栽培」は露地栽培を前提に組み立てられた。水田転作品目にもなりうる。現に千葉県君津市の試験圃場は水田である。ただ、単年度栽培で連作が難しいため、アスパラガスを組み込んだ輪作体系の構築が必要になるだろう。

早期定植による
養成期間の長期化

なぜこのような栽培法が開発されたのか。アスパラガス栽培では根に蓄えられた養分量が収量を大きく左右する。この養分は立茎時に光合成で作られ、冬先の黄化時に根に転流して蓄えられる。若茎をすべて採りきってしまえば光合成はできない。したがって、根も大きくは育たないことになる。

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