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【トマトの「ソバージュ栽培(R)」】
調理用マーケット開拓の可能性
- 元木悟
- 第4回 2017年01月05日
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1 日本における
調理用トマトの現状
大学、企業、生産者が三位一体となり磨き上げてきた「ソバージュ栽培」。特に栽培普及が目覚ましいのが調理用トマトだ。結論から言うと筆者は、この調理用トマトこそが世界に誇る日本の食文化における重要な食材のひとつになっていくと考えている。
前提として、日本における調理用トマトをとりまく現状から確認したい。トマトは農業産出額が1位となるなど、人気のある野菜でありながら、年間消費量は世界平均の約20kgに遠く及ばず、わずか約9kgにとどまっている(図(1))。これは地中海沿岸の地域を中心とする地域がトマトを加熱調理して食べるのに対し、日本は世界的にも珍しく、トマトを主に生で食べるためだ。つまり、日本ではまだトマトを調理して食べる文化は発展途上と言える。
角度を変えてみれば、これからマーケット開拓の余地があるということでもある。「ソバージュ栽培」で栽培管理の省力化、それに伴うコスト削減が可能になった今、まさに消費拡大への土台が整ったと言えるだろう。
2 ブラインド調査で食味の
優位性が明らかに
パイオニアエコサイエンス(株)(以下、パイオニア)では2005年以降、「シシリアンルージュ」「ロッソナポリタン」「サンマルツァーノリゼルバ」に代表される調理用トマトを開発してきた。過日、明治大学・生田キャンパスで開催された「新世代アグリチャレンジャー育成講座」(明治大学農学部農学科野菜園芸学研究室主催、パイオニア共催)のなかで、品種名を伏せて5種類のトマトソースの食べ比べが行なわれた。
人気投票の結果、全91票中、シシリアンルージュが34票、ロッソナポリタンが25票、サンマルツァーノリゼルバが16票(いずれもパイオニア)と、ソバージュで栽培した調理用トマト3品種が、生食トマトや缶詰の既製品などに比べ、高い評価を得た(写真(1))。食味の良さは、食べれば伝わるということが実証された。
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