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イベントレポート

地域の人・もの・環境を活かした農村産業/農村経営研究会 2016年第4回定例会


「継続するためには、儲からないまでも採算がトントンのビジネスとして成立させなければなりません」
農村の価値をビジネス化する取り組みは、伊豆沼農産の事業をベースに、少しずつ実現しはじめている。伊豆沼農産に隣接する場所に設けた「ラムサール広場」はその拠点となっている。
広場に建てた「都市農村交流館」ではまさに人が活かされている。前述の竹とんぼやしめ縄づくりができる高齢者たちが先生となり、都市の子どもたちに教える場として活用されている。このほか広場には、「生ハム体験工房」や、食農体験ファームがある。また周辺の自然を利用した遊び「ネイチャーゲーム」も企画している。
地域との連携も深め、登米総合産業高校の高校生と協力して地元の乳酸菌を使った「乳酸発酵あまざけ」という商品を開発した。前述の食の文化祭に出品された料理は、地域の食文化として外に発信するために伊豆沼農産のレストランのメニューとして提供する予定だ。
現在、新たに「農村産業」として立ち上げようとしているのは「食農教育」というコンセプトの事業である。都市の子どもたちに命の大切さを伝え、地域の高齢者の活躍の場を広げる。これまでも伊豆沼農産では地元の小学4年生に「田んぼの学校」という稲作の実践を提供してきた。伊藤氏の呼びかけもあり、宮城県では20年までにすべての公立の小中学校で食農教育が導入される。昨年は東京の子どもたちのモニターツアーを実施した。遠距離という課題があるため方法を模索中だ。また来春には食農体験ソムリエ協会を立ち上げ、資格制度をつくることも計画中である。
「都市の子どもたちへの食農教育を『農村産業』の核としていきたい。トントンでできるビジネスに発展できたら、その方法を公開していきたい」
研究会の参加者からは、「しゃべり場倶楽部」や食の文化祭、食農教育の運営方法や詳細について質問があった。
また研究会のアドバイザーの松尾雅彦氏からは、レストランと食肉加工製造についてアドバイスがあった。日本の食生活が、稲作文化の食から欧米風の畑作文化に移行するなかで、豚肉を主力とする伊豆沼農産のレストランをさらに美食に磨いていくことが重要だと話した。また加工品は品質が上がればコストが下がるという仕組みを解説した。検食で基準を満たさないロスを減らすには、検食のタイミングよりも前段階で原因を見つけ、プロセスを改善するという考え方である。
昆は研究会の最後にこう締めくくった。

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