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【海外レポート】
イタリア農業機械展(EIMA)の視察日記(中編)
- 齊藤義崇
- 2017年01月30日
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モールドボードプラウは
やはり土耕機の王者だ
初めて不耕起乾田直播の現地試験でその播種作業を見たときに、なんと夢のような光景だと期待を膨らませたことだろうか。あれから20年、現場での指導経験から雑草や作物の生育、土壌のことなど乾田直播のイロハを語れるようになったいま、プラウ耕は耕種的防除や地力回復に欠かせない農作業だと断言できる。
展示会場で意外に感じたのは、プラウをメインに展示している会社が多いことだった。ボードの形状やジョインターなどのオプション部品に違いはあるものの、シェアや安全ボルトなどは、ほぼ同じ材質・形状に見える。つまり消耗品は仕入れ部品で調達し、フレームやボードを中心にメーカーで独自の特徴を出そうと、製作・設計しているようだ。折りたたみ機能やセミマウント機能、可変機構の有無、ゲージ輪の取り付け方などにも新たな工夫が見られた。
プラウを選ぶ際のポイントは反転力と作業能率だろう。とくにプラウ耕が効果的な土壌ほど、プラウの形状にもこだわるべきだというのが私の持論である。モールドの大きさや形状、ジョインターが直線か湾曲しているのか、エクステンションの配置などによって反転力が違ってくるからだ。展示機のなかには、エクステンションが付いているが、実際に効いているのか疑問に感じるものもあった。
次に作業能率だが、多連化が進んでいる。多連になれば機体は重くなり、当然ゲージ輪のついた牽引式も増える。3連までならボトムの刺さり具合の差は気にならないが、多連かつボトムが大きくなればなるほど傾きの調整機能がほしくなる。まさに可変プラウが登場した理由である。大型化や多連化はトレンドだが、よほどプラウ耕の技術力を持っていない限り、角度調整のできるホイスト付きのゲージ輪を装備したり、牽引力の大きいトラクターで曳いたりすれば問題ないとも言えそうだ。そう考えると、可変プラウは今だけの流行で終わるかもしれない。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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