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さて、これだけメーカーが競合しているのであれば、気になるのは価格である。日本でも名の通ったマスキオのブースで見つけたのは16インチほどのプラウだ。6連以上になると重量があるので、牽引式となる。メーカーの人に価格をたずねると、だいたい販売店の売値で約1万5000~2万ユーロと返ってきた。日本円に換算すると300万円を切る値段というから安い。一方、これまで馴染みのなかったトルコのメーカーではなぜだか日本人というだけで歓迎されたのだが、同じクラスのプラウが1万ユーロを切るという。信じられない話だが、トルコ製やオーストリア製のプラウは日本国内の購入価格の半値である。展示数や種類が多ければ選択肢が広がるという現実に衝撃を受けた。
砕土の主軸担うディスクハロー
プラウに負けず劣らず多種多様な商品が並んでいたのは、ディスクハローである。初日に部品ブースを見て回っていたので、ディスクの形状にさまざまな形状やサイズがあることに驚きはしなかったが、配列にも工夫が凝らしてある。縦3列は当たり前で、5列並ぶものもある。フレームとディスクだけで重たそうなので、牽引するだけで大方の砕土が終わりそうだ。
チゼルやレーキ、ローラーなど前後に組み合わせる作業機の種類も多彩で、実におもしろかった。プラウと組み合わせた作業体系で考えると、圃場づくりは基本的にこのようなハローで済ませているのではないかと思う。各社とも実機展示に加えて作業動画を大画面に映し出し、作業体系の提案をしている。ディスクハローをかけた後は作物によって異なるが、さらに砕土して野菜の定植をしたり、パワーハローとシーダーのコンビネーションで穀類を播種したり、牧草地の簡易更新に利用する事例などが紹介されていた。
土耕機も扱うメーカーと播種機のメーカーがタイアップしてコンビネーション体系を展示しているブースもたくさん見受けられた。たとえばマスカー社のディスクハローは、隣り合わせのアルペゴ社の播種機を装着して展示されていた。生産力を上げるためには圃場づくりと播種を同じ土俵で考える必要がある。理に適った営業戦略だと納得した。
ディスクハローの強みはプラウと違い、難しい作業機の調整が必要ないことだ。牽引したときの作業抵抗も小さいから作業速度を上げられる。ヨーロッパでも欠かせない土耕機の一つのようだ。メーカーも農場主のお眼鏡にかなうような商品展開をし、それぞれのカスタマイズにも応じるという姿勢がうかがえた。日本にはディスクハローでこれだけの数はないし、カタログでも見かけない。貴重な見学ができた。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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