ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

江刺の稲

集落営農の経営破たんをどうする

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第249回 2017年01月30日

  • この記事をPDFで読む
    • 無料会員
    • ゴールド
    • 雑誌購読
    • プラチナ
農林水産省は昨年3月に平成28 年2月1日現在の『集落営農実態調査』を報告している。報告では「集落営農数は1万5134となり、前年に比べ281 (1.9%)増加した。このうち、法人の集落営農数は4217となり、前年に比べ595(16.4%)増加した。また、集落営農に占める法人の割合は27.9%となり、前年に比べ3.5ポイント上昇した」と、集落営農が発展しているかのように語っている。
しかし、農水省の思惑とは裏腹にこの実態調査結果は、集落営農組織の経営破たんを予言するデータとしてもみることができる。そしてこの経営破たんの対処の方法いかんによっては広大な農地が荒廃することにもつながりかねない。
集落営農の中にも優れた経営者を擁し、経営的にも安定した経営を作り上げている組織もある。しかし、集落営農にすることで「経営所得安定対策」の恩恵を受けられるという理由で組織化されたものが大多数である。農協や行政主導の下で経営者不在のままに集落営農組織が作られていった経緯を考えても、さらには経営センスのあるリーダーが存在する組織においてもその高齢化が進んでいる。平成27年の基幹的農業従事者の平均年齢は67歳。来年には団塊の世代が70歳以上になる。
集落営農は平成14年に農水省がまとめた「米政策改革大綱」の中で、集落営農のうち一定の要件を満たすものを「集落型経営体」と認め、認定農業者と同様の担い手として位置づけられた。その要件として「5年以内に法人化すること」が義務づけられていた。しかし、集落営農の法人化率は27.9%に過ぎず、43.2%は法人化の予定がない。

関連記事

powered by weblio