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成田重行流地域開発の戦略学

地域をつなぐ新聞店 東京都新宿区


人口減少で今後も部数の拡大どころか維持することもおぼつかないなか、新たな成長事業を見つけ出すのに四苦八苦しているところだ。新聞社の苦境は新聞店の苦境でもある。むしろ新聞を売ることしかできない新聞店にとってみれば、部数の減少はそのまま売り上げの減少である。先行きは決して明るいものではない。今田さんの危機感は全国の新聞店のものである。
「僕ら新聞販売店は、昔であれば新聞を届けるだけでよかったけど、今それだけじゃ見通しが立たなくなっている。売り上げが減っているし、お客さんとの関係性は薄れていくばかりで……」

二つの思いが重なって
スタート

そんな悩みを抱えたとき出会ったのが、成田さんが事務局を務めるNPO法人おいしい水プロジェクト(以下「おいしい水」)代表の阿部千由紀さん。このNPOは、本連載でこれまでにも紹介してきたように、内藤とうがらしをはじめとする東京産の農産物を集荷し、新宿区内のさまざまなイベントで販売している。場所のなかで最も多いのは毎月開いている新宿御苑での仮設店舗。これについては本連載の「内藤とうがらしの復活物語」でたびたび紹介している。
そうしたイベントを開けば農産物は順調に売れたが、それだからこそ問題も発生した。「欲しい商品が欲しいときに買えない」という客からの声だ。「おいしい水」は常設店は持たない。客の要望に応えるにはどうすればいいか。そんな悩みを抱えたときに出会ったのが今田さんだった。
「阿部さんたちは新宿で買えるところを作りたかった。一方、今田さんは地域のために何かサービスをしたいと思っていた。そのときに二つのニーズがかち合って、八百屋ができたんです」
こう語る成田さんの支援を受けて、「今田新聞店の八百屋さん」が開業したのは2014年。以来、祝日を除く月、水、金の週3日、10~13時に店を開いている。
それにしても、こんなオフィスビルが立ち並ぶ場所でこじんまりと店を開いていて、いったい誰が野菜や果物を買うのだろうか。そう思って店先を見ていると、これが意外にも客が途絶えることなくやってくる。それも近所の主婦らしき人やOLらしい女性だ。店頭に立つ売り子の女性によると、「東京産ということで人気があるんですよ」とのこと。ただ、それだけではないようだ。女性が農産物の特徴や作っている農家のことをきちんと説明できる点に、客はほかのスーパーにはない価値を感じているのだろう。

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