ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!

農地と投資とコストの話(2)売買による規模拡大

不動産の売買

土地や建物を合わせて不動産という言葉を使っているが、その定義をご存じだろうか。日本では、不動産は土地とその土地に固定されて動かない建物や立ち木などのことと民法で定められている。今回調べてみてわかったのは、不動産に関連する法律が多岐に渡ることだ。土地に限れば不動産登記法による地目の分類によって監督省庁も違えば、売買・譲渡のルールも違ってくる。参考までに不動産取引に関連する法律を表1にまとめてみた。
最も身近なのは住まいに関する宅地だろう。売り主と買い主が直接、売買を行なう場合を除いて、多くは不動産仲介業者が仲介している。その仲介料は上限を法律が定めており、不動産価格の3~5%に消費税を加えた額となっている。不動産価格が200万円以下であればその5.4%、200万円以上400万円以下で4.32%、400万円以上で3.24%に定めている。
不動産仲介業者の取り分となる仲介料は、一社で仲介が完了できれば「両手」と言われ、売り主、買い主の双方から仲介料がもらえる。「片手」とはどちらかしか仲介できなかったときにもらえる仲介料のことである。素人考えだと両手のほうが儲かると考えるのだが、不動産業に携わる義弟に聞いてみるとそうとは言えないようだ。両手仲介にこだわると自社で情報を公表しなかったり、他社が買い主を見つけても売り主に伝えなかったり、仲介料が2倍になるので売買価格を下げたりすることもあるそうだ。こうしたリスクもあるので、共同仲介といって、他の不動産会社と連携して売買するほうがスムーズに仲介できるという。さっさと捌いて、次の物件と取り引きを進めていく方が効率もいいのだろう。
宅地についてはこのように不動産仲介の仕組みが法律のもとで運用されているが、農地の売買については農地法の管轄下にある。地域によって事情は大きく異なると思いつつも、農地売買もルールを設定することで、民間の不動産仲介業者に農地の仲介の一部を委託してみてはどうだろうか。農地法で農地を取得する者を制限することには賛成だが、官営だからといって公正、公平ではないし、トラブルがないわけではないのだから。
民間委託は、農業委員会の手に負えない、相続した不在地主が所有する耕作放棄地から着手してもらいたい。その台帳を公開し、不動産会社の仲介参入を許可すれば、この仲介が成立した場合には農業委員会が民間斡旋の案件として取得・許可の決定をすればよい。農業委員会の面子も保てるし、耕作放棄地移動が経済にプラスに作用すると思う。農地を相続したけど扱いに困っている人がいる一方で、あの農地が手に入れば、地続きで耕作しやすいのにと切望している人もいるのだ。

関連記事

powered by weblio