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イベントレポート

第2回稲作コスト低減シンポジウム


自ら買い付け・販売を行なう生産法人がJAの施設を利用しなくなり、施設利用率の維持・確保ができないという課題に対して、農業法人や個人の認定農業者とJAが参加する「コシヒカリ栽培研究会を2004年に立ち上げた。作付け配分、価格調整、施設利用計画等を調整したうえで、サイロを集約利用する仕組みを構築し、運用が続いている。JAに出荷しない地元の農業法人にも門戸を開放することでカントリーエレベーターの最大活用を図ることができると、両者のメリットを説明した。ただし、利用者全員の米が混合・調製されるため、使用する肥料や農薬等はJAの生産資材に統一し、特別栽培米生産に取り組むというルールがあるという点は触れておく必要がありそうだ。

水稲の民間企業開発品種の
広がりに期待膨らむ

3人目に登壇したのは、三井化学アグロ(株)営業本部技術普及部ハイブリッドライス種子グループのグループリーダーを務める吉村明氏だ。同社が手がけるハイブリッドライス「みつひかり」の特徴を紹介し、多収と作期分散が規模拡大に効果を発揮している事例が紹介された。作期が長く、通常品種を収穫した後でも西日本を中心に年内ギリギリまで収穫でき、胴割れしないという特徴が強みである。
しかし、同時に吉村氏が持参した稲穂のサンプルに驚きの声が挙がったことからも、2000年に品種登録・販売が始まり15年を経ても、知名度が伸びていないことがうかがえた。水稲に限れば公的機関の育成品種が圧倒的に大勢を占める現状を指摘し、民間育成品種は産地品種銘柄数では2003年の3.8%から17.4%へと品種数が増加しているものの、検査実績では15年産で全出荷量の約0.3%に当たる約1.5万tに留まることを報告した。質疑応答を通じても民間育成品種の可能性に関心を持つ来場者が多かったようだ。

集落営農の健全化を図り
無借金経営を実現した手腕

4人目の講演者は岩手県一関市の農事組合法人おくたま農産・代表理事組合長の佐藤正男氏である。「集落を守る! 低コスト飼料用米生産」をテーマに話題を提供した。20~30aの地権者をも含む約340名の組合員を抱えてスタートした組織から、10年かけて基盤整備を実施し、耕作権を組合に移譲しつつ、信頼を積み上げ、無借金経営に移行させた。機械を自己資金で購入したり、作業を集約化したり、施設にお金をかけない工夫を凝らし、稲作のコスト低減に努めてきた。それと同時に政策を見て取り組んでいるのが飼料米の湛水直播での生産というわけだ。

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