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農業は先進国型産業になった!

土地・人材・技術革命がそろった大規模農家 (有)ソメノグリーンファーム(茨城県坂東市)


昔、ウルグアイラウンドの頃(90年代初め)、鳥取県農協中央会主催の講演会の講師に招かれ(2000人規模の大集会)、「将来市場開放してもやっていける強い農業になる必要がある」「田植えをやめ省力的な乾田直播に切り替えたほうがコストダウンできる」と話したら、大変なブーイングが起き、講演を数分間中断せざるを得なかった。同席していた農水省高官(審議官)が「直播栽培の導入は農水省も研究しており、同じ考えです」と発言してくれたが、効果はなかった。「田植え信仰」は強かった。翌日、東伯町農協で講演することになっていたが、当日の朝、担当者が宿泊先に慌てて飛んできた。「田植えをしなくてよいなどと話す先生の話は聞きたくない」と欠席続出、講演会が開けないとのことだった(実際には40人位集まった)。そのくらい、農村では田植えへの郷愁が強く、直播には拒絶反応があった。
それが今、曲がりなりにも、全国で直播栽培が普及し始めている。規模拡大先進農家にとって不可欠の技術になってきている。時代の変化は隔世の感がある。感無量である。農村は人手不足である。また、国際競争力強化のため、コストダウンも不可避である。乾田直播は、日本農業の“救世主”になろう。

[6]米国へのコメ輸出

染野実氏は、県内8戸の農家と米国カリフォルニアのコメ市場を視察してきた(今年1月末)。16年産のコメ60tを、農家からコメを買い取るロサンゼルスの輸入販売会社田牧ファームズに輸出した。カリフォルニアには日本食レストランが2万店あり、日本米への需要がある。カリフォルニア産の短粒種は水不足で供給が制限され、一方、日本食ブームで需要が伸びており、近年、現地産コシヒカリの価格は上昇している。スーパー等の店頭小売価格はkg400~500円になっている。日本からの輸出米は450~500円であるから、日本産米も価格競争力が出てきた。
しかし、現地店頭価格が450円の場合、日本の農家手取りは1俵7000円であり、「あまり儲かるわけではない」という。国内では1万2000円で売れるからそれに比べれば損という意味。(注、ソメノグリーンファームは規模拡大と技術革新で大幅にコストダウンできているはずなので、1俵7000円でも利益が出ているはず。筆者推定)。
日本の米国向けコメ輸出は、15年323t、16年582tである。仮に10倍に増えても5000tに過ぎず、毎年8万tずつ国内消費が減少していることを考えると、米国向け輸出が伸びても、国内の需給には影響を与えず(米価下支え効果なし)、日本のコメ産業にとっては意味がない。

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