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土と施肥の基礎知識

転炉スラグの特性と使い方

1.常識破りの土壌酸性改良資材

土壌診断分析でpHが6程度以下かつ石灰が基準より少なく、塩基飽和度が80%程度以下であれば、石灰資材の施用による酸性改良が必要である。一般的な石灰資材には、炭酸カルシウム(炭カル)や苦土石灰(苦土カル)がある。それらに共通する欠点は土のpHを高めすぎると微量要素欠乏を起こしやすいことだ。
微量要素とは、植物の生育に必須だが必要量がごくわずかな養分のことで、具体的には鉄・マンガン・亜鉛・銅・塩素・ホウ素・モリブデン・ニッケルの8種類を指す。塩素とモリブデンを除く微量要素は土のpHが6.5程度より高くなると水に溶けにくい形態となり、植物への吸収が阻害され微量要素欠乏症を起こしやすくなる。このことから「土のpHを6.5より高めてはいけない」という説が土づくりの常識になってしまった。
しかし、転炉スラグを使えばpHが7.5になっても微量要素欠乏が起こりにくい。転炉スラグはいわば常識破りの土壌改良資材なのだ。筆者らはそのことをすでに1970年代に明らかにしたが、つい最近まで実用化を進めることができなかった。その原因は厚い土づくりの常識の壁と「スラグ」という名前にあった。

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