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【土と施肥の基礎知識】
転炉スラグの特性と使い方
- 東京農業大学 名誉教授 全国土の会 会長 後藤逸男
- 第15回 2017年03月03日
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土壌診断分析でpHが6程度以下かつ石灰が基準より少なく、塩基飽和度が80%程度以下であれば、石灰資材の施用による酸性改良が必要である。一般的な石灰資材には、炭酸カルシウム(炭カル)や苦土石灰(苦土カル)がある。それらに共通する欠点は土のpHを高めすぎると微量要素欠乏を起こしやすいことだ。
微量要素とは、植物の生育に必須だが必要量がごくわずかな養分のことで、具体的には鉄・マンガン・亜鉛・銅・塩素・ホウ素・モリブデン・ニッケルの8種類を指す。塩素とモリブデンを除く微量要素は土のpHが6.5程度より高くなると水に溶けにくい形態となり、植物への吸収が阻害され微量要素欠乏症を起こしやすくなる。このことから「土のpHを6.5より高めてはいけない」という説が土づくりの常識になってしまった。
しかし、転炉スラグを使えばpHが7.5になっても微量要素欠乏が起こりにくい。転炉スラグはいわば常識破りの土壌改良資材なのだ。筆者らはそのことをすでに1970年代に明らかにしたが、つい最近まで実用化を進めることができなかった。その原因は厚い土づくりの常識の壁と「スラグ」という名前にあった。
しかし、転炉スラグを使えばpHが7.5になっても微量要素欠乏が起こりにくい。転炉スラグはいわば常識破りの土壌改良資材なのだ。筆者らはそのことをすでに1970年代に明らかにしたが、つい最近まで実用化を進めることができなかった。その原因は厚い土づくりの常識の壁と「スラグ」という名前にあった。
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後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
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