ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

今年の市場相場を読む

野菜輸入と市場入荷の関係 ニンジン/ブロッコリー/結球レタス/ハクサイ

昨年はとりわけ夏以降、多くの野菜の品薄状態が続き高騰した。そのため輸入がかなり多かったのではと考えるが、実際は生鮮野菜で約86万t、4.3%の増加にとどまり、野菜類全体でも263万t、2%増程度である。ただし、極端な品不足になったのは秋以降で、かなり増えている品目や月がいくつかある。これら輸入が増えた品目と、東京市場への入荷動向を対比させてみると、輸入品はどんな流通をしたかが推測できる。輸入増でも市場入荷が少なかったもの、輸入品の入荷が増えて市場相場の鎮静化に寄与したもの等々。そこに、それぞれの需要構造や流通形態の違いなどが見えてきて興味深い。

ニンジン
11月には輸入3倍弱、北海道産激減を見通せず高値

【概況】
2016年の輸入ニンジンは、前年より30%増の9万2000t。しかし月別に見ると、6月までは前年を下回っていたが、7月から増えはじめ、11月には前年の2.8倍、単月で1万4000tも輸入された。一方、東京市場の入荷推移は通年で3%減、6月までは前年並みからやや多い程度だったが、やはり7月に1割強の入荷減となり、8月は持ち直したものの、以降の月は10~20%の入荷減で推移した。
【背景】
輸入が3割増えたにもかかわらず、東京市場の品薄状態は緩和しなかった。たしかに東京市場のニンジン輸入品は前年より45%増えているが、シェアは1%増えて2.7%の2415tにすぎない。台風等大雨被害がひどかった夏秋の主産地、北海道産は通年で17%減だが、7月には前年同月より32%も減り、8月はなんとか前年並みだったが9月に25%減、10月17%減、11月は22%減。それを引き継ぐ千葉産は11月で16%減、12月には21%減だ。
【今後の対応】
一般に輸入野菜はその1割が東京市場に入荷するといわれるが、ニンジン輸入量9万tに対して、東京市場には2400t、期待値(1割)の4分の1程度しか入荷していない。輸入全体の8割近くが業務加工用に直納されている勘定になる。数量を調達したい業務加工用需要者は、国産が品薄時には暴騰を避けて市場流通から無理に調達しない。しかし、市場でも北海道産の大幅減産は目に見えているのに、なぜキロ300円近い暴騰を許したかだ。

関連記事

powered by weblio