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特集

耕作放棄地活用「次の一手」


榊には一定の需要がある。しかし現在流通している榊は中国産が多い。かつて国内産が減少するとともに、その不足を補うため、中国に自生する榊を山から採ってきて商品化することを日本人が指導し、現在に至っている。

【知る人ぞ知る
国産榊のブランドに】

自生するものや中国産とは一線を画す商品に高めるには、ほかの作物と同様に技術の投入が必要になる。見た目に美しく日持ちも良い。そんな榊は、選りすぐった木の枝を何度も継いでつくられた苗を適切に管理することで生まれる。
品質の高い国産榊で勝負してきたのが、1月号で紹介した八丈島の榊生産者、奥山完己氏である。奥山氏は、榊の良さを人々に知ってもらえば、そこにビジネスチャンスが生まれると考えた。その榊は品質が認められ、いまや知る人ぞ知るブランドに成長している。
奥山氏は2009年、「国産榊生産者の会」を立ち上げ、産地間連携による安定供給を目指すとともに、栽培技術などの情報交換をするための場を設けた。また、もっと国産榊を広めたいという想いから、新たに生産を始めたいという人にも、苗から栽培、販売方法までアドバイスを送っている。
奥山氏のもとには、人々が全国から視察や相談に訪れている。榊の生産を拡大した人、他の作物から転換し新たに榊の生産を始めた人、主力の作物のほかに榊を始めた人などさまざまだ。

【自生地ならほぼ栽培可能
出荷までに3年】

「まずは、地元に自生しているかどうかの確認から始めてはどうでしょうか。定植から出荷までに3年、またはそれ以上かかるので我慢してほしい。生育スピードや品質は、苗や環境などに左右されます。栽培適地は一概には言えませんが、事例を参考にしてもらえればと思います」
奥山氏が集めた情報によると、たとえば、八丈島の苗を使った種子島では足掛け3年で出荷でき、地元の種を使っている新潟県では移植から3年で出荷している人もいる。同じ九州でも霜被害の有無は場所によって異なる。
八丈島でも霜の被害を受けたことがある。寒さに弱いかというとそうでもない。雪国の新潟県でも順調に生産されている。日照時間の影響も榊の品種、土地柄によってもさまざまだ。八丈島のように日光を遮るものがないところで良く育つ場合もあれば、山の近くで半日陰になるようなところでも良く育つ場合もある。
「土地の条件で言うと、種子島では水田だったところに定植した例もあります。私自身、ナンバー1・ナンバー2の圃場は元水田です。今年も新たに、水田だった土地10aを開墾しなおして榊を定植しました。八丈島は丘陵地が多いのですが、作業効率の高い平地は魅力です」

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