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成田重行流地域開発の戦略学

自分ファーストを越えて


新入社員が早期にレベルアップするように、社歴30年のベテランと同じレベルで仕事ができるようにするためにこの本をつくった。ベテランは自分の経験則から答えを導き出せるが、新入社員はそれができない。そこで私はオムロンにいるときに、入社半年の女性社員で実験をしてみました。新人に私のマニュアルを渡して「これを机の上において、仕事が来たらこのマニュアルの中にテーマを入れなさい。自動的に答えが出てくるから」と、マニュアルに当てはめるということを徹底させたんです。そうしたら新人が論理的な思考をするようになって、2、3カ月もしたら30年選手と同じくらい仕事ができるようになったんですね。
マニュアルを採用しておくと効率的な仕事ができる。マニュアルを使って左脳でつくったものに、右脳の個性、感性、経験だとかを加えていくと、誰にも負けない答えが出せるわけです。
左脳の論理的回路――情報把握力、整理分析、戦略をつくって仕掛け、表現をして伝達し、最終的にどんどん促進して、修正もするというすべてのプロセス――を全部マニュアル化しています。このプロセスの中で組織の仕事のほとんどはこなせるんです。
仕事というのは与えられると、まずどうしようかと自分の頭の中で考える。ぼーっと考えていては、どうすべきか判断するのに3日くらいかかる。そうでなくて、まずこのマニュアルを引き出しの中に入れなさいと。そうすると、関連性などが発想でき、次に進むことができる。引き出しがあると、論理的な展開ができるわけですね。
翻って地域における人づくりは大変。私の場合は自分で編み出した「実践戦略学」を紐解きながら一つ一つ教えていく。学んでいる人たちは2年、3年もすれば自分の力になってくる。10年、20年経った今も、彼らは私の塾の考え方を実践している。新しい人も出てくる。地域開発の要は、ただただ人づくりだということなんです。
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本連載で取り上げた岐阜県飛騨市(本連載8、9回)や三重県尾鷲市(同10~12回)に登場した人たちも、成田さんの商品開発塾を卒業してから10年以上が経った今も、独自に加工品の試作を重ねたり、レストランを開店させたりしている。彼らはみな、実践戦略学を教わってきたのだ。
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自分さえよければという
地域開発はダメ

直近でトランプ現象があるでしょう。20世紀の後半から21世紀にかけて、グローバル化の激しい波が世界を席巻した。その結果、いろんな功罪がある。罪の部分で一番大きいのは格差が出ていること。それから、経済至上主義で、企業が狩場を求めて席巻しながら短時間で行ってしまうということ。人件費が安いから中国へ、中国がダメになるとベトナムへ、またベトナムがダメになれば違う場所へと移動していく。

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