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結果的に富を得た人もいるし、便利にはなりました。でも便利さと幸せは一致せず、どんどん幸福感がなくなってしまっています。人力だったのが機械やトラックが入り、テレビも見られるようになる。でもそれとひきかえに家族がばらばらになってしまっていたりする。これで大企業が別のところに移動したら、幸せを失って残るのは何かと。
グローバル経済の行き過ぎた活動が無節操に行なわれて、次から次へと場所を変えていくから貧富の差が生まれる。結果、移民やテロにもつながっている。しかも、多様性がなくなり、モノカルチャーになってしまう。
いろんな弊害が一挙に来たことの反動がトランプ現象。世界みんながなんてやめよう、自分のところだけよければそれでいいんだと。損得だけをベースに自分ファーストになるという現象ですね。グローバル化のうねりの中の一種の反動が、ああいう体制をつくっている。
私が地域開発でやっているのは、グローバル化の一点張りでもないし、保護主義的な「自社だけが」「自分のところだけが」ってことでもない。自分のエリアがよければいいっていう地域開発の仕方はダメなんですね。往々にして行政が頭になると、隣の県より自分の方がいいというやり合いになる。こういう保護主義的な展開の一方で、うちの土地はグローバル企業に使ってもらうんだとグローバルの流れに同調しようとする自治体もいるわけです。
保護主義的に「うちはうちの範囲の中で循環すればいい」となると、どうなるか。医療機関なら、脳外科はじめ全部の医療分野の診療体制を自分のところにつくっちゃう。小さな村で隣の県にりっぱな外科手術ができる病院もあるのに、自前で病院をつくるという動きになってしまう。私たちが言っているのは、そうじゃないだろう、関係性の時代だろうということです。
地域同士でつながる
関係性の時代
関係性の時代というのはどういうことか。まず、その地の伝統文化を最優先で守りましょうと。それが至上命題であって、経済的発展をしましょうというもんじゃない。伝統文化を守ることを第一に、その地域のオリジナルなところや個性を大事にすると、地域の特徴が出てくる。特徴が出てくれば、外に対して「我々はこれなんです」と言えるわけですね。まず、伝統文化にするっていうのが大事。それを進める中で、地域内に足りないものがあれば、別のところのを使ったらいいじゃないかという考え方なんです。
私が今かかわっている新宿は、世界一の乗降客、380万人くらいを擁している。そんな新宿をちっちゃな村が使いこんで、新宿をマーケットにすればいい。そうすれば、2000人くらいの村でひいひい言っていたところから、可能性が一気に広がる。大都会をあこがれの的にするんじゃなくて、使い込んじゃおうという考え方なんです。
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