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成田重行流地域開発の戦略学

自分ファーストを越えて


たとえば宮城県に江合川という川がある。これを水源までたどっていくと、県境に行きつく。上の部分はブナで、巨木がばあっと広がっている。縄文人は河川を全部把握していたわけね。上流から中流、河口までを見ている。その流れの中で生きているわけでしょ。
でも今は行政区画で分断されているでしょ。海に近い人は、水源と関係ないんだよね。川というすごく大事な脈絡を分断しちゃっているわけで、そこに問題がある。
昔は漁師が自分の海を大切にしたいからと、植林をわざわざした。そういう昔のことや、インドネシアで水を守る人たちを見てくると、そこに共通項がある。自分ファースト、都民ファーストとか、アメリカファーストにしちゃうと、そこに強烈な壁ができちゃう。昔はそうじゃない。柔軟なんだ。異なる水神様への信仰も行き来できる。そういうのが一番大事。
地域開発もそれが大事なんだ。地域の文化を守るためにやっていくのであって、決してグローバルではないし、保護主義でもない。今の時代、あまりにも多くの反動や反作用がある中で、日本の地域開発から、世界の在り方に対する提案をちっちゃいながらもやりなさいと言いたい。日本は一神教ではなく、いろんなところに神様がいるという下地もある。日本の小さいところから、21世紀の後半に向けて、グローバリズムや保護主義の両極端じゃない新しい考え方の時代、関係性の時代に持っていかないといけないよと。

継承し伝えていくという
大切な役割

まず、自分が何を守るかを決めなさい。それは地域に密着したオリジナルなものですよ。昔は何がどうだったとたどっていけば、皆すごいことできるじゃない。そのために補完しなきゃいけない機能については、いろんなところと手を結べばいいわけ。私がつくりたいのは、そういう社会なんです。
それはトランプではないし、グローバルの行きすぎでもない。日本の地域から生まれる、農村地域から生まれるというのが大事なんです。そういう最先端を見せていけば「なるほど、競争してけんかするんじゃなく、自分たちの持っているものを使い込めばいいんだな」と田舎の人は思う。新宿の人は新宿の人で「自分たちが」っていうなんとかファーストの部分をはずしていかなければならない。
地球というのはそれぞれ天候、気候、いろんなものがあって、地元にあるものが優先なんだよ。自分のところで尊重し、足りないものを皆で補完する。そういうウィンウィンの関係でいく。自分たちが弱いところに金をかけるのをやめて、自分がもっと得意な分野を守る。それをやるには、みんながかかわっていて、誰しもがわかる「食」で行こうと。食というテーマで自分の考え方を表現していったらどうですかと。「昔こんなものを食べていたね」「今、これはないね」というのを掘り起こして、伝統的なものをつくろうという発想ですね。

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