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【土と施肥の基礎知識】
ゼオライトの特性と使い方
- 東京農業大学 名誉教授 全国土の会 会長 後藤逸男
- 第16回 2017年04月03日
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肥料に比べて、土壌改良資材には施用効果がいまいち判然としないものが多く、そのひとつがゼオライトである。「連作障害や塩類濃度障害に有効」「ケイ酸やミネラルが効く」などと“魔法の石”としてもてはやされたが、施してみてもそれらの効果が現れないため、「いんちき・いかさま資材」になり果てた時期もあった。
筆者は、ちょうどその時期(1970年代後半~)にゼオライトの魅力にとりつかれ、今日までその特性を活かした農業利用法を研究してきた。
ゼオライトとは火山活動が活発だった2000万年ほど前の海底に堆積した火山灰が、続成作用と呼ばれる地殻変動により変質してできた鉱物で、ケイ酸とアルミナを主成分とする。海底にできたゼオライトは、その後に隆起して、現在では福島県や山形県などで露天掘りされ(写真1)、日本国内の埋蔵量は無尽蔵といわれている。また、その品質は世界最高級である。
成分組成は土壌中の粘土鉱物のなかでも優良粘土といわれるモンモリロナイトによく似ている。また、どちらも土の胃袋にたとえられるCEC(陽イオン交換容量)が大きく、保肥力を高める効果がある。
しかし、構造はまったく異なる(図1)。モンモリロナイトは3枚のトタン板を重ねたような板状構造だが、ゼオライトは公園のジャングルジムのような三次元の網目状構造で、岩石を構成する造岩鉱物のなかで最も風化しにくい石英に似ている。たいへん頑丈で、土壌中でもほぼ永久にその構造は変化しない。一方、モンモリロナイトは土壌中で徐々に変質してCECが減少するため、土壌の保肥力改善にはモンモリロナイトよりゼオライトのほうが優れる。ただし、モンモリロナイトは土壌中で変質する際にケイ酸が遊離するので、その一部が水稲やウリ科野菜に吸収・利用されるが、ゼオライト中のケイ酸は頑固なジャングルジムの構成成分なので、作物には有効ではない。
ゼオライトとは火山活動が活発だった2000万年ほど前の海底に堆積した火山灰が、続成作用と呼ばれる地殻変動により変質してできた鉱物で、ケイ酸とアルミナを主成分とする。海底にできたゼオライトは、その後に隆起して、現在では福島県や山形県などで露天掘りされ(写真1)、日本国内の埋蔵量は無尽蔵といわれている。また、その品質は世界最高級である。
成分組成は土壌中の粘土鉱物のなかでも優良粘土といわれるモンモリロナイトによく似ている。また、どちらも土の胃袋にたとえられるCEC(陽イオン交換容量)が大きく、保肥力を高める効果がある。
しかし、構造はまったく異なる(図1)。モンモリロナイトは3枚のトタン板を重ねたような板状構造だが、ゼオライトは公園のジャングルジムのような三次元の網目状構造で、岩石を構成する造岩鉱物のなかで最も風化しにくい石英に似ている。たいへん頑丈で、土壌中でもほぼ永久にその構造は変化しない。一方、モンモリロナイトは土壌中で徐々に変質してCECが減少するため、土壌の保肥力改善にはモンモリロナイトよりゼオライトのほうが優れる。ただし、モンモリロナイトは土壌中で変質する際にケイ酸が遊離するので、その一部が水稲やウリ科野菜に吸収・利用されるが、ゼオライト中のケイ酸は頑固なジャングルジムの構成成分なので、作物には有効ではない。
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後藤逸男 ゴトウイツオ
東京農業大学 名誉教授
全国土の会 会長
1950年生まれ。東京農業大学大学院修士課程を修了後、同大学の助手を経て95年より教授に就任し、2015年3月まで教鞭を執る。土壌学および肥料学を専門分野とし、農業生産現場に密着した実践的土壌学を目指す。89年に農家のための土と肥料の研究会「全国土の会」を立ち上げ、野菜・花き生産地の土壌診断と施肥改善対策の普及に尽力し続けている。現在は東京農業大学名誉教授、 全国土の会会長。
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