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アルパカファームの経営・労務事件簿

今から備える「改正労働契約法」


農業経営者の方々から、「雪がたくさん降る地域だから冬場は仕事がないんだよ、そのぶん夏場は誰よりも働くね」というお話をよく聞きます。農業は季節性が強いため、契約期間の定めのない雇用契約を結ぶことは難しいでしょう。そのような背景からも、今回の労働契約法の改正は農業経営に大きく関わってきます。
先日、北海道稚内市の就農2年目の女性の農業経営者から、「農の雇用事業」に関するご質問でお問い合わせをいただきました。話を聞いていると、今期は直接契約が決まり、売上が上がる見込みとのこと。いよいよこれからだということで、「人を雇用して農業経営を展開していこう!」と意気込んでいたのですが、農地は雪深い日本最北端の北海道。1年の半分は農作業がない現状なので、どうやって通年で仕事を創り出そうかと頭を悩ませていました。「まずは、地域の働きづらさを抱えた女性や高齢者をパートタイマーとして雇い入れたい! 地域に雇用を生み出したい」と、力強い声でお話しされていました。

【無期転換ルールの適用除外】

契約期間が「通算5年」という要件ですが、クーリング期間(働いていない、契約が切れている期間)がある場合、クーリング期間以前の契約期間は通算されず、クーリング期間以後の時点から通算することになります。通算する契約期間が1年以上の場合には、働いていない期間が6カ月以上であればクーリング期間として扱われます。要するに、通算5年間の契約期間を経るまでの間に、半年未満の契約(半年間契約が切れている状態)を挟むことで、法改正による無期労働契約への転換の対象にはならない、ということです。
無期転換のルールでは船員、公務員、同居の親族のみを使用する場合だけが適用除外となっています。適用除外に記載のない学生アルバイトや外国人労働者も、ルールに則って有期雇用から無期雇用への転換を申し出る権利を有しますので、ご注意ください。

【ダイバーシティ経営の時代】

無期労働契約や正社員としての雇用の方が珍しい、農業の業界。しかし、地域における主幹産業として、多様な労働力の受け皿としての役割も、農業の大切な側面です。
「働き方改革」「ダイバーシティ経営」(※2)を掲げ、多様な人材、多様な働き方を設け、持続可能な働くカタチを目指す時代。今回の法改正を押さえ、農業経営の発展の一手、雇用計画を進めてもらえればと思います。「働き方改革」の必要性が年々高まっている一方で、そもそもの労働力不足、採用難で人材不足に陥り、次の一手を打ちかねている農業経営者も多く見られます。これまでのような「フルタイム・正社員」が当たり前な時代は終わり、近い将来、非正規社員・多様な働き方が中心となる企業は益々増えてくるでしょう。その来たるべき未来に向けて、これからすぐに備えていく必要があります。

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