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イベントレポート

「ベールを脱いだ『スマート・テロワール』の実地検証」山形大学農学部が挑戦する農村の新産業/新品種産業化研究会 講演会


大学の実証展示圃では耕畜連携と農工一体を実証する。田畑輪換ではなく、水田を完全に畑地化して単収を上げる。ジャガイモ、大豆、小麦(16年度はソバ)、トウモロコシの4品目を輪作で生産し、75%の厳選素材は加工用にし、残りの25%の規格外品は畜産に提供する。5年後には収量目標値に達することを目指している。10a当たりジャガイモ4500kg、大豆440kg、トウモロコシ1500kg、小麦800kgという高い目標値である。
5年後、実証展示圃を踏まえた地域に畑作農業と養豚業にプロトタイプを示す。
現在想定しているプロトタイプは、畑作農業は、4品目に牧草を加えた5品目を2haずつ10haで輪作し、10万円/10a程度を基準として収入を試算すると、総収入は726万円になるというものである。また、養豚業は、輸入飼料を地域の農業や加工業から出る無償飼料で代替する割合を高め、飼料費を削減するというものである。
大学内に畑作、畜産の研究部門チームをつくり、今後、生産者や小売業、消費者にもチームに参加してもらう予定である。
「山形大学農学部はエクステンション・センターとして、庄内地域の農業や農村の発展に責任と使命感をもって貢献する高等研究機関を目指す」

「実証展示圃」の
1年目の活動と美食革命(中坪あゆみ氏)

山形大学農学部助教で、実証展示圃の実務責任者を務める中坪あゆみ氏は、実証展示圃の研究結果と、それに密接に関連する美食革命の研究結果を報告した。
実証展示圃は畑輪作と飼料調製給与の二つの研究領域を設けている。昨年4月に40aの畑輪作実証展示圃と、12月に20頭規模の実験用肥育豚舎を設けた。
1年目は主に三つのことに取り組んだ。畑輪作体系の課題の洗い出し、おいしい加工品をつくるための厳選素材の選別法と評価法の検討、地域産飼料による豚の肥育技術の確立である。
畑輪作実証展示圃には、ジャガイモ、大豆2品種(エンレイ・里のほほえみ)、飼料用子実トウモロコシ、ソバを作付けした。なお、17年度からはソバの代わりに小麦を作付けする。収穫後、それぞれ栽培技術と単収、規格内の比率、厳選素材としての分析を考察した。
ジャガイモは、長雨や病気の影響で低い収量、品質にとどまった。課題は土壌の排水だということが明らかになった。今後、後述の土づくりを含め、食味と加工しやすさを考慮したサイズ目標を設定し、それに合わせた栽培管理を進めていく。また、厳選素材の選別法と評価法を検討するため、食感が優れる比重ごとの味覚分析を行なった。今後、食感と味覚の良いでん粉価を設定していく。

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