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特集

「土を考える会」を考える 前編


特筆できるのはプラスチック撥土板の開発である。耕す技術の発展をたどると、掘棒と石斧に始まり、これが鋤、鍬になる。やがて犂の時代となり、チゼル耕から反転鋤き込み耕に発達する。犂の摩耗を防止するために犂先に骨や角を利用し、やがて青銅を用いる。次いで鉄の鋳物の時代を迎えるが、土壌の付着に苦しみ、撥土板に鋸板を張り付ける。土壌の付着問題を解決したのはもちろんのこと、耐久性を増してスチールプラウの時代となる。
第二次大戦後、我が国もホイールトラクターを導入するが、我が国の場合、スチールプラウでも土壌の付着に苦しみ何らかの対策をしなければならなかった。そこで考え出したのがプラスチック撥土板である。土壌の付着を防止できたのはもちろんのこと、けん引抵抗を少なくすることにも成功した。現在、プラスチック撥土板は世界的に利用されているが、スガノ農機(株)が世界をけん引しているといえる。
小さなスガノ農機(株)は最早リーダーカンパニーである。耕す技術においては、他の追随を許さないので、社会の公器といってもなんら差し支えない。「土を考える会」と一体になって耕す技術を高水準化したことは高く評価されてよい。また、スガノ農機(株)は創業の地上富良野町に農業技術博物館「土の館」を建設している。これは企業の利益の地域の文化への還元でもある。その内容が評価されて北海道遺産に指定されている。

【後日追記】

この記事が掲載された後に、スガノ農機と土を考える会とは新たな関係が始まろうとしている。
同社の混乱に対して、「北海道土を考える会」に続いて全国組織である「全国土を考える会」は、臨時総会で同会の幹事役であったスガノ農機を幹事として認めないと決議した。しかし、その後2017年12月に同社社長として渡邊信夫氏が就任して後、同社と土を考える会は良好な関係に変化し始めている。
2018年夏の段階で同社は幹事会社として復帰したわけではなく土を考える会の同志的会員として参画する形になっている。とはいえ、これまで各地区で開催した土を考える会のイベントでは同社による協力体制が取られるようになっている。また、この騒動を契機にして、これまでスガノに甘えた依存関係にあった各地区の土を考える会は、同社との関係を貴重なものと考えつつも独自の活動実態を持とうという支部もある(2018年8月31日現在)。

⇒関連記事: 「編集長インタビュー:スガノ農機(株)代表取締役・渡邊信夫『新生スガノは原点を忘れない 乗っ取り騒動の真相と再建への道筋』」

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