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【農業は先進国型産業になった!】
さつまいもは成長産業になる(2)(株)照沼勝一商店(茨城県東海村)
- 評論家 叶芳和
- 第3回 2017年05月08日
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食物繊維、ヤラピン、アンチエイジングに役立つ抗酸化機能、生活習慣病の予防効果があるアントシアニン等々のポリフェノール類を豊富に含む、その機能性で「さつまいも」が注目されている。お腹を満たすことではない。品種改良や栽培技術の研究開発も、その点を重視すべきだ。新しいイノベーションがさつまいもを成長産業に導く。
さつまいもは、生活水準が高くなるに伴い、コメや小麦に代替され、食用需要は減少してきた。つまり、所得が上昇すると消費が減る「劣等財」であった。実際、長い間、さつまいもは“衰退産業”と見られてきた。生産の推移をみると、1955年の718万tから、2016年86万tへと激減した。作付面積も、38万haから3.7万haに低下した。
しかし、“成長産業”に転じる可能性が出てきた。1970年代以降は、趨勢的減少トレンドから脱し、近年は増加に転じる気配が観察できる。さつまいもの歴史的後退は飼料用、でん粉用等の需要減少が大きいが、トウモロコシへの代替が一巡し、このマイナス要因が弱くなったからである。じつは、この傾向は世界的である。中国でさえも、2000年代に入ると減り止まっている。米国も、むしろ増え気味である。
図1は、食用(生食用+加工食品用)の割合が多い茨城県と千葉県の甘藷生産の推移であり(両県合計)、「食用さつまいも」の需要動向の代理変数と考えてよい。生産額は05年327億円から15年434億円へ、10年間で33?%も増加した。特に茨城県の増加が大きい。155億円から243億円へ拡大している。数量ベースでは14、15年は減少したが、不作の影響である。不作時も金額ベースの増加は続いているので(単価上昇)、需要の強さを示唆している。東京卸市場での茨城産の価格は13年134円/kg、14年163円、15年205円だった。
(1) 成長産業になるか
さつまいもは、生活水準が高くなるに伴い、コメや小麦に代替され、食用需要は減少してきた。つまり、所得が上昇すると消費が減る「劣等財」であった。実際、長い間、さつまいもは“衰退産業”と見られてきた。生産の推移をみると、1955年の718万tから、2016年86万tへと激減した。作付面積も、38万haから3.7万haに低下した。
しかし、“成長産業”に転じる可能性が出てきた。1970年代以降は、趨勢的減少トレンドから脱し、近年は増加に転じる気配が観察できる。さつまいもの歴史的後退は飼料用、でん粉用等の需要減少が大きいが、トウモロコシへの代替が一巡し、このマイナス要因が弱くなったからである。じつは、この傾向は世界的である。中国でさえも、2000年代に入ると減り止まっている。米国も、むしろ増え気味である。
図1は、食用(生食用+加工食品用)の割合が多い茨城県と千葉県の甘藷生産の推移であり(両県合計)、「食用さつまいも」の需要動向の代理変数と考えてよい。生産額は05年327億円から15年434億円へ、10年間で33?%も増加した。特に茨城県の増加が大きい。155億円から243億円へ拡大している。数量ベースでは14、15年は減少したが、不作の影響である。不作時も金額ベースの増加は続いているので(単価上昇)、需要の強さを示唆している。東京卸市場での茨城産の価格は13年134円/kg、14年163円、15年205円だった。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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