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農業は先進国型産業になった!

さつまいもは成長産業になる(2)(株)照沼勝一商店(茨城県東海村)


現地に会社を訪問すると、干し芋加工場の大きな乾燥施設が目につく(写真参照)。衛生管理された蒸し工程、遠赤外線による乾燥(酸化抑制)、そして鳥害虫害を避けるため細かい目の金網で囲まれた天日干し場(紫外線の殺菌効果)が備えてある。品質管理の徹底さがうかがわれる。当施設は食品衛生管理の国際標準化を満たしていることを示すHACCPを取得している(2011年)。日本一の産地とはいえ、これだけ立派な加工施設は照沼勝一商店だけである。
品質管理は、原料芋の段階では堆肥と土づくりを研究し、土壌分析等を徹底している。土づくりは、単に“有機肥料”を使うだけでは解決しない。有機堆肥はアンモニアガスを発生し、硝酸態窒素を作る。この野菜を食べると糖尿病の原因になる。そこで、マイナスイオンを帯びた腐植堆肥を使用している(取手市の(有)シモタ農芸霜多増雄氏の理論)。また、土壌が過剰栄養で汚染されているとの見地から、肥料要素の不足分をつぎ足すのではなく、過剰養分をマイナスしてバランスさせている。
(注、腐植堆肥については拙稿「2土壌の科学で製品差別化に成功-(有)シモタ農芸」拙著『新世代の農業挑戦』全国農業会議所2014年参照。なお『農業経営者』2006年12月号拙稿。)。

無農薬栽培である。「安全で健康な食べ物」の供給というだけではなく、“農作業者の健康”にも留意しているからだ。今の芋づくりは農薬漬けである。農協の「栽培ごよみ」などを見ると、10以上の農薬を使っているが、ここではゼロである。土壌消毒もしない。単収が著しく低いのはそのせいであろうか?
分析技術を求めて、日立製作所グループの(株)日立パワーソリューションズ分析技術グループ(旧日立協和エンジニアリング)に依頼して、土壌および作物の精密な科学的分析を行なっている。微量成分まで念入りに分析している。もちろん、残留農薬分析や放射能測定も行なう。農業改良普及所の分析に満足せず、大企業の持つ分析力も借りようというものだ。
水質分析は(財)茨城県薬剤師会検査センターに依頼している。例えば、畜産地帯の井戸水は窒素が高い。硝酸態窒素が高いと赤ちゃんが貧血になる。逆に、硝酸が低いと、抗酸化が高くなり、またビタミンCも壊れにくい。こうした民間の分析機関はつくば市にもあるようだ。茨城県は分析センターが多いのが強みだ。先進的な農業を行なうのに条件がいい。
10年前にも、照沼勝浩氏にお会いした。その時は、まだオヤジさんの遺産が大きいという印象だった。しかし、今回は違った。腐植堆肥の導入、大企業の分析力の活用、HACCP取得の加工工場新設など、品質管理が飛躍的に向上し、二代目の挑戦が結実していた。先代を超えたと思われる。

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