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【Opinion】
稲作経営者は何よりも自分自身の経営を優先すべき
- コメ産業コンサルタント 田牧一郎
- 2005年02月01日
1月に、台湾と日本での仕事の合間に友人の病気見舞いに行った。彼は昨年の水田の収穫作業の終了を目前にして、倒れてしまった。現在はリハビリも順調に進み、退院して自宅療養の時期を待っている。
彼は若く熱心に大規模稲作経営を実践している。同時に地域のリーダーとして、各種団体の長や責任ある立場にもある。倒れる直前も、忙しい収穫作業の間に、印刷物の原稿仕上げ、行政の委託を受けた委員会への出席と多忙を極めていたと言う。いつものことだとがんばった結果、すべてが止まってしまった。
近年は農業委員と農協監事も務めている。地域農業を真剣に考え、そして実践しており、その体験と見識は今後の地域農業と地域社会に大変重要なものであり、地域に役立てて欲しい大切な財産である。しかし、あまりにも周辺から頼られ過ぎていたのではないかと感じる。
これを機に十分に休養を取り、体力と気力を取り戻し、現場復帰することを期待している。
人望の厚い彼である、稲作作業は近くの仲間たちの手伝いで収穫作業も無事終了した。春作業の計画も立て始めている。彼は地域社会への貢献は十分に果たしてきた。これから当分の間、任せられるところはすべて人に任せ、しばらく自分自身の経営に考えを集中して欲しいものだ。
現在第一線で活躍している日本の稲作農業経営者、特に地域社会を背負って生きている方々に伝えたいことがある。外にいる人間には言う資格がないと叱られそうだが、あえて言っておきたい。
できるだけ自分の仕事に専念した方がよいし、自分の経営に集中できる環境を作るべきである。特に稲作経営の安定を考えた時、規模拡大は日本稲作の避けて通れない過程である。その実現のためには地域農業を一体として考え、地域社会の中で上手にお付き合いをしながら、仕事をしていく必要も認識している。
しかし、現状とこれからの稲作経営は、大変難しい状況に置かれていることは否定の余地がない。
急激に生産者の玄米販売価格が下落している。生産物価格の下落は、多少の規模拡大を行っても追い付かないほど進んでいる。不作になっても価格は回復していない。在庫量が十分あること、そして単年度では転作をしてもまだ十分過ぎる生産量があることが、価格を戻せない理由だ。
一方、コメの消費量が減りつつあること、輸入米は毎年決まって入ってくること。その結果考えられることは、このままいけば国内産米の生産のみ減少することになり、当然価格は下がることしか考えられない。
このような状況下、多少の規模拡大ではどうなるものでもないことは計算すればすぐにわかる。多くの稲作経営者にとって、先の見えないイライラが始まるゆえんだ。
しかしここからが稲作経営者の知恵の出しどころである。
どこまで日本の国内生産が減少するのか、競合する稲作地域はどこなのか、スーパーでの小売価格はどのあたりが予測できるか、その時自ら生産したコメはどのくらいの価格で販売可能か。3年後5年後10年後の予測ができれば、それに自分の経営がついていけるか考えればよい。
変動要素が多く予測困難と思ったら、稲作経営は縮小する方向で検討した方が将来のためである。予測困難なことでも誰かが予測し、誰かが対応するのが経営である。最終的には消費者がコメの味と品質そして価格で、必要とする稲作経営を決めるのである。
日本国内産米の生産がなくなることはないと私は思う。ご飯にすると世界一おいしいコメだ。問題は消費者が許容する価格がどこなのか。そして日本以外の産地でどのようなコメがどのくらい作れるのかで、日本の生産量が決まる。
彼は若く熱心に大規模稲作経営を実践している。同時に地域のリーダーとして、各種団体の長や責任ある立場にもある。倒れる直前も、忙しい収穫作業の間に、印刷物の原稿仕上げ、行政の委託を受けた委員会への出席と多忙を極めていたと言う。いつものことだとがんばった結果、すべてが止まってしまった。
近年は農業委員と農協監事も務めている。地域農業を真剣に考え、そして実践しており、その体験と見識は今後の地域農業と地域社会に大変重要なものであり、地域に役立てて欲しい大切な財産である。しかし、あまりにも周辺から頼られ過ぎていたのではないかと感じる。
これを機に十分に休養を取り、体力と気力を取り戻し、現場復帰することを期待している。
人望の厚い彼である、稲作作業は近くの仲間たちの手伝いで収穫作業も無事終了した。春作業の計画も立て始めている。彼は地域社会への貢献は十分に果たしてきた。これから当分の間、任せられるところはすべて人に任せ、しばらく自分自身の経営に考えを集中して欲しいものだ。
現在第一線で活躍している日本の稲作農業経営者、特に地域社会を背負って生きている方々に伝えたいことがある。外にいる人間には言う資格がないと叱られそうだが、あえて言っておきたい。
できるだけ自分の仕事に専念した方がよいし、自分の経営に集中できる環境を作るべきである。特に稲作経営の安定を考えた時、規模拡大は日本稲作の避けて通れない過程である。その実現のためには地域農業を一体として考え、地域社会の中で上手にお付き合いをしながら、仕事をしていく必要も認識している。
しかし、現状とこれからの稲作経営は、大変難しい状況に置かれていることは否定の余地がない。
急激に生産者の玄米販売価格が下落している。生産物価格の下落は、多少の規模拡大を行っても追い付かないほど進んでいる。不作になっても価格は回復していない。在庫量が十分あること、そして単年度では転作をしてもまだ十分過ぎる生産量があることが、価格を戻せない理由だ。
一方、コメの消費量が減りつつあること、輸入米は毎年決まって入ってくること。その結果考えられることは、このままいけば国内産米の生産のみ減少することになり、当然価格は下がることしか考えられない。
このような状況下、多少の規模拡大ではどうなるものでもないことは計算すればすぐにわかる。多くの稲作経営者にとって、先の見えないイライラが始まるゆえんだ。
しかしここからが稲作経営者の知恵の出しどころである。
どこまで日本の国内生産が減少するのか、競合する稲作地域はどこなのか、スーパーでの小売価格はどのあたりが予測できるか、その時自ら生産したコメはどのくらいの価格で販売可能か。3年後5年後10年後の予測ができれば、それに自分の経営がついていけるか考えればよい。
変動要素が多く予測困難と思ったら、稲作経営は縮小する方向で検討した方が将来のためである。予測困難なことでも誰かが予測し、誰かが対応するのが経営である。最終的には消費者がコメの味と品質そして価格で、必要とする稲作経営を決めるのである。
日本国内産米の生産がなくなることはないと私は思う。ご飯にすると世界一おいしいコメだ。問題は消費者が許容する価格がどこなのか。そして日本以外の産地でどのようなコメがどのくらい作れるのかで、日本の生産量が決まる。
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田牧一郎 タマキイチロウ
コメ産業コンサルタント
1952年福島県生まれ。74年、米カリフォルニア州の国府田農場で1年間実習後、帰国、大規模稲作経営に取り組む。89年、カリフォルニアに渡米、コメ作りを開始する。同時に始めた精米会社で「田牧米」を作り、米国内にとどまらず世界中の良質米市場にブランドを定着させた。現在は、コメを生産しながら、コメ産業コンサルタントとして活躍する。
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