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イベントレポート

非農家出身6年目で73ha、代官山におにぎり屋を開く

今回のセミナーの講師は、就農6年目にして水田の耕作面積を73haにまで拡大させ、東京や神戸などにおにぎり屋を出店した鈴木貴之氏(41)である。
本誌編集長の昆吉則は鈴木氏を講師として迎えた理由を次のように語った。
「農業界では、新規就農は難しい、補助金が必要だと言われている。しかし、そのような話とは別のところで、鈴木氏のような水田農業をする人が現れた。鈴木氏の経営は、これからの水田農業にインパクトを与え、元気づけるだろう」
鈴木氏は2009年、出身地の秋田県大仙市で(株)RICEBALLを設立した。会社の事業は、コメの生産から販売および飲食店の運営である。立ち上げ当初は、コメの集荷・販売のみで、自社でコメの生産を始めたのはそれより後のことである。飲食店事業に乗り出したのは、昨年16年。おにぎり専門店「ONIGIRI ICHIGO(おにぎりいちごう)」を東京都代官山と神戸市に、ご飯を中心とした飲食店「ごはんやいちごー」を静岡県磐田市に出店した。さらに今年17年には、配達専門の工場をつくり、おにぎり専門店3店舗を関西エリアに出店する予定である。同じく今年、水田の耕作面積は85haに達する。

売り先をつくってからコメを生産

鈴木氏はもともと非農家の出身である。知識も土地も機械もゼロの状態だったにもかかわらず、なぜこのような事業を実現できたのか。
鈴木氏は、農業にビジネスチャンスを見いだした経緯を次のように語った。
高校卒業後、姉の住む神戸市に移り住んだ鈴木氏は、実家から送られてきたコメを友人の母親におすそ分けした。そのコメは、鈴木氏の父が退職後に買い入れ、作業は委託している水田でとれたコメである。友人の母親から通年で売ってほしいと頼まれた鈴木氏は、値段を決めようと父親に相談した。そのとき初めて農家のコメの出荷価格と小売価格との間に、大きな開きがあることに気づく。

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