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新・農業経営者ルポ

青刈りたまねぎの大規模生産の成功の陰にあったのは乾燥庫の改善にあり


「従来の発想にないものばかりで驚きました。そのなかに我々が導入することになるアスパレーションシステムもあったんです」
アスパレーションシステムでは、天日干しが不要になるほか、スチールコンテナもそのまま活用できる。乾燥のメカニズムはこうだ。
庫内と庫外をつなぐように空気の吸気口と排気口がそれぞれ上と下にある。吸気口から取り込まれた空気はプロパンガスによるバーナーで30℃に温められ、4基のダクトから送り込まれる。4段重ねのスチールコンテナに満たされたたまねぎの間を通り抜けるイメージで、入口の壁に行き着いた温風はターンするように吸引されて吸気口から排出されていく。スチールコンテナの最上段にはビニールシートを被せ、エネルギーロスがなく、迅速に乾燥するよう配慮する。
「収穫したらすぐにここへ持ち込み、1週間から10日間、乾燥させます。これで約20%水分を飛ばせばちゃんとした鬼皮ができます。アスパレーションシステムのおかげで腐敗問題は解決しました」
乾燥庫は全部で五つあり、うち二つがこのアスパレーションシステム搭載で、600tずつ計1200tの収容能力を備える。残りは130tずつになり、一つだけが氷温庫を兼ねている。アスパレーションシステムのコントローラーはオンラインでMooij Agro社につながっており、トラブルの発生を表すランプが点灯して電話対応でも厳しい場合は、オランダから遠隔操作で対処してもらえる。
乾燥が終わったたまねぎは前述の出荷・調製を経て、アリアケジャパンからのオーダーに沿って計画的に九州工場へ出荷される。

3年後をめどに自立した経営を

ここまで見てきたとおり、アリアケファームは、収穫、乾燥、出荷・調製の三つのポイントをクリアしてきた。だが、それ以外に新たな課題が表面化している。
「べと病ですね。昨年は佐賀で大発生が伝えられましたが、当社も影響がありました。ただ、今シーズンはこれも山道さんのところから導入したDacom社のウェザーステーションの効果もあり、被害は免れました」
Dacom社もオランダに本社があり、代理店はTOMTENになる。このウェザーステーションは、温度や湿度、雨量などの気象データを取得し、オランダで解析された後、設置地点の半径2km圏内の天気予報や空気感染の病気の発生、防除のタイミングを知らせてくれるものだ。今年はその本格的な運用の1シーズン目だった。

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