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【農業は先進国型産業になった!】
輸入ネギ圧力で発展した銘柄野菜産地 JA岩井 園芸部会(茨城県坂東市)
- 評論家 叶芳和
- 第4回 2017年06月13日
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中国からの輸入ネギ危機(2000年)で強くなった。首都圏近郊という地勢学上の有利性だけではなく、JA岩井は夏ネギの前進栽培でイノベーションを起こし、茨城県を全国有数のネギ産地に発展させた。夏ネギは独占的地位にあり、輸入ネギとの競争も制した。
ちなみに、ネギの生産額は1555億円(全国15年)、野菜類ではトマト、イチゴに次ぐ第3位で、栄養価も高く、食生活、健康維持の観点からも重要な野菜品目の一つである。
埼玉県の「深谷ねぎ」は全国的なネギのブランドとして有名だ。また、ネギ生産全国1位は千葉県である。しかし、図1に見るように、近年は茨城県が先発両県に猛迫している。後述するように、これは坂東市岩井地区の「夏ネギ」の発展の成果である。近年、茨城県の農業は地力を発揮し、全般的に地位向上しているが、ネギはその象徴的な動きだ。
ネギ生産のランキングは、出荷量では1位千葉5万9000t、2位埼玉4万9100t、3位茨城4万800tである。この上位3県で全国の約4割を占める。産出額でも1位千葉209億円、2位埼玉187億円、3位茨城156億円である(15年)。トップ2県に急迫する茨城県のネギの主産地は坂東市岩井地区(旧岩井市)である。
表1は、季節別、県別のネギ生産量の比較である。埼玉や千葉は秋冬ネギの主産地であるが、夏ネギは茨城県が圧倒している。夏ネギは埼玉4850t、千葉6420tに対し、茨城1万3400tと多い。この茨城の夏ネギを支えているのが岩井地区である。
坂東市岩井地区は、関東平野のほぼ中央、茨城県の南西部に位置し、東京から50km圏内にある。南側に利根川が流れ、地形はおおむね平坦で畑地が広がっている。気温も比較的温暖で、野菜作りに適した地域である。大消費地東京に近いという好条件のもと、ネギやレタスは全国トップクラスの生産量を誇る野菜産地である。
ちなみに、ネギの生産額は1555億円(全国15年)、野菜類ではトマト、イチゴに次ぐ第3位で、栄養価も高く、食生活、健康維持の観点からも重要な野菜品目の一つである。
(1) 夏ネギの銘柄野菜産地
埼玉県の「深谷ねぎ」は全国的なネギのブランドとして有名だ。また、ネギ生産全国1位は千葉県である。しかし、図1に見るように、近年は茨城県が先発両県に猛迫している。後述するように、これは坂東市岩井地区の「夏ネギ」の発展の成果である。近年、茨城県の農業は地力を発揮し、全般的に地位向上しているが、ネギはその象徴的な動きだ。
ネギ生産のランキングは、出荷量では1位千葉5万9000t、2位埼玉4万9100t、3位茨城4万800tである。この上位3県で全国の約4割を占める。産出額でも1位千葉209億円、2位埼玉187億円、3位茨城156億円である(15年)。トップ2県に急迫する茨城県のネギの主産地は坂東市岩井地区(旧岩井市)である。
表1は、季節別、県別のネギ生産量の比較である。埼玉や千葉は秋冬ネギの主産地であるが、夏ネギは茨城県が圧倒している。夏ネギは埼玉4850t、千葉6420tに対し、茨城1万3400tと多い。この茨城の夏ネギを支えているのが岩井地区である。
坂東市岩井地区は、関東平野のほぼ中央、茨城県の南西部に位置し、東京から50km圏内にある。南側に利根川が流れ、地形はおおむね平坦で畑地が広がっている。気温も比較的温暖で、野菜作りに適した地域である。大消費地東京に近いという好条件のもと、ネギやレタスは全国トップクラスの生産量を誇る野菜産地である。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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