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土と施肥の基礎知識

根こぶ病は根絶できる

1.「根こぶ算」式に増える休眠胞子

アブラナ科野菜根こぶ病とは、寄生性原生動物の一種であるネコブカビがアブラナ科植物の根に感染してこぶを作り、地上部を枯らす土壌病害(写真1)で、従来から難防除土壌病害のひとつといわれてきた。
図1が根こぶ病の病源菌の生活環だ。病原菌は土の中で直径0.002mmの休眠胞子として生息する。アブラナ科植物の根が近づくと発芽して第一次遊走子となり、根毛に感染し増殖した後、土の中に放出されて第二次遊走子となる。これが再び根に感染すると細胞が肥大してこぶになり導管を圧迫し、地上部への水分移動が阻害されるため枯死する。肥大化したこぶ1gの中には一億個にもおよぶ休眠胞子が詰まっているため、こぶを鋤き込んでしまうと「ねずみ算」をはるかに上回る「根こぶ算」式に休眠胞子が増加して、やがて野菜畑が根こぶ病畑に一変する。なお、休眠胞子はアブラナ科植物の根が近づいてこなければ、何年もの間、居眠りをしながら待っていることから、休眠胞子と名付けられた。
また、根こぶ病の病原菌はアブラナ科植物の根の中だけで増殖できる絶対寄生菌であり、フザリウムなどのような有機物をえさとして増殖する病原菌ではない。そのため、発病畑に有機物を施用しても病原菌が増殖することはない。

2.おとり植物と抵抗性品種

根こぶ病はアブラナ科植物だけが発病する土壌病害だが、不思議なことにダイコンは発病しない。ただし、根毛には感染することと、ダイコンを栽培した後作では発病しにくいことが知られている。その原因は休眠胞子がダイコンの根毛に一次感染しても、増殖せずに二次遊走子を放出しないためであるが、そのメカニズムは明らかになっていない。

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