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新・農業経営者ルポ

年間30万人にまで来園者数を伸ばそうとする天空の下の花の観光農園


この間、入園料の値上げを何度か敢行している。他の観光農園もそれに便乗したが、目新しさを発信できなかったり、クオリティーを低下させるなかで来園者数を落としていったという。

自社グループ内での
相乗効果を狙い、今年新たに
二つの観光農園をプレオープン

世羅高原農場から車で20分ほど離れたところに西日本最大の芝桜の観光農園があった。昨年5月に事業から撤退することになり、譲渡を打診された吉宗は二つ返事でそれに応じた。
「グループとして当社内で花の観光農園巡りが誘発できると思ったんです。農園の名称や扱う花の品目を若干変えたりしながら、再スタートを切りました」
こうした事態に追い込まれた背景には連作障害とセンチュウの発生があった。そこで、5haの芝桜を吉宗は大胆にもすべて撤去し、半分で1年後(今年、注:チューリップ祭と開園期間が重なり、それより10日間長い)にネモフィラとのセットでプレオープンする方向で動く。表土をはぎ取った後、堆肥や熔リン、苦土石灰を投入し、半年を費やして畑を作った。
「もったいないという見方もあるでしょう。でも、当社はお客様のことを第一に捉えています。その一環で土づくりにも力を入れ、堆肥の施用を重視するほか、ひまわりや大麦は緑肥としてすき込んでいます」
この芝桜の観光農園から話がもたらされた数カ月後の夏、世羅で最も標高の高い540mに農地を所有する高齢女性からまた売却に関する申し出を受けた。ここは元々観光農園ではなく、長い間、耕作放棄地だった場所だ。世羅高原農場から車で10分ほどと近く、何よりロケーションの良さにほれ込んで取得することに決めた。
「地名が『(世羅町戸張)空口』というように、空に開けた緩やかな斜面の農地なんです。ここで何を咲かせるのかということになり、地域にない花を探してバラを選びました。バラ園といえばどこもだいたい平野部にありますからね」
バラは吉宗の趣味とかそういうことではない。基本的にはダリアと考え方が一緒で、この地点の気候風土から検討した結果、長く繰り返し咲いてくれる花としてイングリッシュローズ(バラ)に行き着いた。バラであれば春も秋も開花させられる。秋については、ダリア祭と開園期間が重複するため、自社グループ内での観光農園巡りが可能であり、近辺での果樹狩りなど行楽シーズンともぴったり合う。あくまで戦略的かつ論理的に思考した末の判断だったのだ。
「花の観光農園はお客様のニーズを先取りしなければ来園者数がだんだん減ってしまいます。今回、二つの観光農園をプレオープンさせられたのはリスクヘッジからしても大きな意味がありました」

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