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国の役割は、農協もわれわれも同等の条件で競争するプラットフォームを整備してやることしかない。
この期におよんでもなお「かくすべし」のない農協
共済担当者氏はこんなことも言っていたらしい。
「農家訪問の共済推進も一時中止にするつもりです。訪問して共済解約の話が出てきたらやぶ蛇になりますからね」
農協版「かくすべし」だ。
筆者の「かくすべし」が本誌47号で紹介されている。
「もはや合併と組織再編だけでは(農協の)生き残りは難しいだろう。まず求められるのは徹底したリストラだ。場合によっては赤字垂れ流しの営農部門を切り捨てるぐらいのドラスティックなリストラが必要となる。農協は待ったなしである」
年末の忘年会シーズンに東北の某温泉旅館に出かけた。プロ生産者の集まりに招待されたのだ。偶然なことにわれわれの宴会場のすぐ隣に地元の某農協の「海外視察旅行反省会」との案内板を見つけた。仲居さんが食事を運び込む隙に中を見渡せば、理事と思しき連中を主賓にした農協の忘年会。おそらくは忘年会では農協内部の経理処理ができず、「反省会」の名目を使ったのであろう。
それにしても土門剛に現認されるとは運の悪い連中だ。その農協もご多分に漏れず「共済事業は解約が進めば農協経営がバタンといって……」のはずである。この光景をじっと眺めていてふと思いついた。
かくすればかくなるものと知りながら止むにやまれぬ大和魂(吉田松陰)
農協にとっては経営がいかなる悲劇的な状況に陥っても、農協幹部は組合員のことなどまるで眼中になく、花見とばかりに、いや最後の晩餐のつもりなのかもしれないが、「かくあればかくなるものと知りながら、やむにやまれぬ農協魂」の持ち主と、読み替えるべきではなかろうか。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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