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【農業は先進国型産業になった!】
新規就農者目白押しのレンコン産地 (株)れんこん三兄弟& JA 土浦(茨城県霞ケ浦周辺)
- 評論家 叶芳和
- 第5回 2017年07月07日
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新規就農者が目白押しという珍しい産地だ。レンコン栽培は儲かるからだ。水田の借地料はタダ、稲作不向きの低湿地帯のハス田は5万円(10a当たり)。時代の変化は恐ろしいくらいだ。
霞ケ浦周辺は日本一のレンコン産地で、全国シェア5割、東京市場の9割を占める競争力の高い農業だ。健康志向の高まりで、需要も伸び、成長産業の様相を呈している。「第2の成長産業」の可能性。長期停滞の農業分野で異彩を放っている。イノベーションの導入、農業経営者の行動を見たい。
【(1) 茨城レンコンは成長産業】
1990年代以降、全国的にはレンコンも衰退産業である。表1に示すように、全国の収穫量は9万tから6万tに減った。栽培面積も6千haから4千haに減少した。
これに対し、茨城県のレンコンは、栽培面積は大きな変化はないが、収穫量は2万tから3万tに増加した。その結果、全国シェアは20%から50%超へと上昇した。都道府県別では、茨城県が2万9千tとダントツで、2位徳島5千t、3位佐賀4千tである(2015年)。
茨城は日本一のレンコン産地である。その中心は霞ケ浦周辺である。湖岸に広がる低湿地帯だ。改良品種の導入、収穫のイノベーションが、霞ケ浦地区のレンコン産地の競争力を強くした。
図2は、レンコンの単収の推移を示した。茨城県の単収は70年代、80年代は全国より低かったが、90年代に急上昇した。一方、全国他産地の単収は低下トレンドである。90年代に鮮やかなクロスがみられる。その背景には二つのイノベーションがあった。
レンコンは品種が多い。もともとは中国から伝来し、品種改良したものが普及している。関東では、千葉県長南町のレンコン生産者、金坂孝澄氏が育種した品種「金澄(かなすみ)」(85年品種登録)が7割を占める。早生、極早生、晩生など早晩性の違い、浅い着生か深い着生か、収量の多寡、肌の色、食味などで品種が分かれ、金澄系だけでも第1号から第43号(現状)まである。ほとんどが民間育種家によって育成されたものである。
霞ケ浦周辺は日本一のレンコン産地で、全国シェア5割、東京市場の9割を占める競争力の高い農業だ。健康志向の高まりで、需要も伸び、成長産業の様相を呈している。「第2の成長産業」の可能性。長期停滞の農業分野で異彩を放っている。イノベーションの導入、農業経営者の行動を見たい。
【(1) 茨城レンコンは成長産業】
1990年代以降、全国的にはレンコンも衰退産業である。表1に示すように、全国の収穫量は9万tから6万tに減った。栽培面積も6千haから4千haに減少した。
これに対し、茨城県のレンコンは、栽培面積は大きな変化はないが、収穫量は2万tから3万tに増加した。その結果、全国シェアは20%から50%超へと上昇した。都道府県別では、茨城県が2万9千tとダントツで、2位徳島5千t、3位佐賀4千tである(2015年)。
茨城は日本一のレンコン産地である。その中心は霞ケ浦周辺である。湖岸に広がる低湿地帯だ。改良品種の導入、収穫のイノベーションが、霞ケ浦地区のレンコン産地の競争力を強くした。
図2は、レンコンの単収の推移を示した。茨城県の単収は70年代、80年代は全国より低かったが、90年代に急上昇した。一方、全国他産地の単収は低下トレンドである。90年代に鮮やかなクロスがみられる。その背景には二つのイノベーションがあった。
レンコンは品種が多い。もともとは中国から伝来し、品種改良したものが普及している。関東では、千葉県長南町のレンコン生産者、金坂孝澄氏が育種した品種「金澄(かなすみ)」(85年品種登録)が7割を占める。早生、極早生、晩生など早晩性の違い、浅い着生か深い着生か、収量の多寡、肌の色、食味などで品種が分かれ、金澄系だけでも第1号から第43号(現状)まである。ほとんどが民間育種家によって育成されたものである。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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