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スイッチが入ると
目標に向かって一直線というのが
若者の素晴らしいところ。
抹茶の乾燥に最適な
温度や時間、蒸し方等
あっという間にネットで調べ
スイスイと事を進めていきます。
数日後乾燥もうまくいき
さていよいよ粉にするかということで引っ張り出してきたのは
大豆からきな粉を作る時に集落のおじいちゃんから頂いた石臼。
抹茶は特に熱を嫌うので冷たい石で挽くのが最良の方法なのです。
ゴロゴロゴロゴロ
一生懸命臼を回しますが
一向に粉になりません。
原因は回転が逆でした……石臼は時計と反対方向に回すのです。
回転を逆にした瞬間
出てくる出てくる。
「おーすごいすごい! いよいよ抹茶アイスが近づいてきた!」
と盛り上がってきましたが
ここで問題発生、お茶の粒子が粗いのです。
挽いたものを二度三度と繰り返し挽いてみましたがやっぱりダメです。
調べてみると、抹茶用の石臼は高い精度の目立てが必要で
うちの石臼ではこれが限界でした。
アイスクリームというのは滑らかさが命なので
このままではざらついた感じが残ってしまいます。
ネット茶臼を探してみましたが
ものすごく高価なものでびっくり。
それこそ抹茶アイスが2年くらい毎日食べられるお値段です。
結局アマゾンで
手回しのお茶用セラミックミルを
買うことになりました。
次の日こんな僻地にもあっという間に機械が届き
熱が出ないように機械を時々休ませながらゆっくりゆっくり回します。
格闘すること3時間
やっと自分たちが満足できるレベルの抹茶ができました。
この抹茶でアイスクリームはもちろんドーナツや茶蕎麦まで自作。
お茶用のミルを購入したり
かかった時間を考えると
既製品を買っている方がよっぽど安いような気がしますが
出来上がったアイスや蕎麦は
一度食べたら二度と忘れないほど濃厚な味わい。
これと同じように子供達が過ごした濃厚な時間は
彼らの中に忘れられない何かを残していると思います。
僕は今という時代
限界集落にとって本当に素晴らしい時代が来たと思っていて
新しい情報や必要なツールは都会と全く同じように簡単に手に入るし
世界中に暮らすいろいろな人とネットで意見交換もできます。
加えて都会では手に入らないような野趣あふれるものも
ちょっと歩けばそこらじゅうに転がっており
それらに自分たちの創造力と行動力を混ぜ合わせ何かを生み出すことは
時に大変な苦労もありますが、
それはそれでとても楽しく素晴らしい時間なのです。
何もなく消えゆくはずだった限界集落が、時代の流れとともに
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山本晋也 ヤマモトシンヤ
副村長
みわダッシュ村
1968年、京都生まれ。美術大学を卒業して渡米後、京都で現代美術作家として活動。そのかたわらオーガニックレストランを経営するも食材を種から作ってみたくなり、京都市内で畑を始める。結婚して3人の子供を授かったころ、農業生産法人みわ・ダッシュ村の清水三雄と出会い、福知山市の限界集落に移住。廃屋を修繕しながら家族で自給自足を目指す。土と向き合ううち田畑と山や川、個人とコミュニティーの関係やその重要性に気がつき、田舎も都会もすべて含めた「大きな意味での自給」を強く意識するようになる。この考え方は、美術家時代にドイツの現代美術家ヨゼフボイスのすべての人が参加して創り上げる社会彫刻という概念に影響を受けた。現在みわ・ダッシュ村副村長。
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