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土と施肥の基礎知識

「土力」を減らさない「努力」

1.「まちがった土づくり」が招いた土壌病害

筆者らは1980年代から全国の野菜産地で土壌診断調査を行なってきた。
当初は調査地域の市町村長やJA組合長などに調査協力依頼文書を提出して許可を得た上で調査地に入っていた。しかし、しばらくすると逆に野菜産地から調査を頼まれるようになった。連れて行かれる現場は、決まって土壌病害が多発した野菜畑やハウスで、そのひとつがセルリー萎黄病で深刻化した静岡県浜松市のセルリー産地であった。セルリー萎黄病はフザリウムという糸状菌(かび)が根に感染して起こる土壌病害で、多種の作物に萎黄病の他にも萎凋病や根腐病などさまざまな病害をもたらす。
このセルリー産地の土は天竜川流域の灰色低地土で、土性は壌土から砂壌土、陽イオン交換容量は15~20、リン酸吸収係数は500程度で、適度な土壌物理性と保肥力を持ち、リン酸が効きやすい肥沃な土壌であった。ただし、元来腐植含有量が少ない土であるため堆肥の多量施用が当たり前のように行なわれていた。堆肥原料として牛糞などの家畜糞の他に、近隣に多い水産加工工場などから出る食品廃棄物なども混ぜられた堆肥で、それらの中には堆肥1tに5~20kgのリン酸、5~30kgのカリが含まれるような堆肥もあった。窒素も10kg程度含まれていたが、熟度の高い堆肥で窒素が無機化しにくい。そのような堆肥を施用すれば、足りなくなる窒素だけを施せばよいはずだが、「堆肥は土づくり資材で肥やしではない」という農家の固定概念で、窒素・リン酸・カリが横並びあるいはリン酸施用量の多い山型の施肥が行なわれていた。
この地域のように、連作と肥沃な土に対する間違った土づくりがセルリー萎黄病の発病を招いてしまった。

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