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【実践講座:したたかな農業を目指す会計学 続・入るを計り出を制す!】
人材と雇用の話(3)能力評価と就業規則の活用方法
- 齊藤義崇
- 第31回 2017年07月07日
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親子継承の慣習に、「息子はまだまだだ」「全然わかっとらん」という表現がある。度が過ぎると、同性の親子ゆえに、継承が難しくなる場合も少なくない。残念なことに、経営を継ぎたいと希望する後継者がいても、諍(いさか)いが多く、一旦は就農した子が家を出て異業種の企業に就職するケースもある。わが家の事情を棚に上げて、他人様の経営事情を云々いうのは遠慮したい部分もなくはないが、外から冷静にアドバイスを送ることができるなら、経営者の父と折り合いがつかないために起こる、経営継承のトラブルには心がけるべきポイントを伝授したい。
まず、後継者の側のポイントは二つある。一つは、異業種の企業に就職して家を離れてみることである。サラリーマンとして勤めると、上司や同僚との人間関係を円滑に進めていくにも、努力が必要であると思い知らされる。実はこうした経験が家族経営を継いだのちに活きてくるのだ。経営者である父を気むずかしい上司と割り切ることも、ときには必要である。いくら小言を口にしても子供を可愛く思わない親はいない。上手に接するコツは、父を経験豊富な上司あるいは先輩と考えることである。そうすれば、学ぶべきところや反面教師にするところ、協力するところといった勘所をつかむことができるだろう。
よく親御さんと別居したり、二世帯住宅にしたりする農家が多いのは、上手な距離感を保つための最善策なのもしれない。迎合ではなく、適度な距離感を保つことを心がければ、ストレスは軽減されて仕事の効率が上がり、父の信頼を勝ち取れるだろう。長い目で見れば、それこそが経営を強くする何よりの近道で、強化した経営を継承できれば、自分のやりたい経営を進めやすくなるのだから。
二つ目は、後継者が自らの仕事の出来映えを評価できているかという点である。父は長年の経験から何に注目しておくべきかを身体が覚えており、農作業を上手くこなせないとつい口出ししたくなるものだ。父に不満を持つ前に、自分の「できないところ」と「できるところ」を明確にし、自己採点をするクセをつけよう。そして、できないところは積極的に上達するように訓練することを勧めたい。その姿こそ「うるさい親父」を沈黙させる唯一の方法だと思う。現時点の父と比べて優る点を自信の拠り所にしていると、小言がさらに加わり、後継者のストレスは倍増するだけである。欠点を埋めるのはしんどいが、経営の舵取りを任される前に手腕を磨く機会と捉えれば、その努力が無駄になることはないと信じるほうが賢いはずだ。
よく親御さんと別居したり、二世帯住宅にしたりする農家が多いのは、上手な距離感を保つための最善策なのもしれない。迎合ではなく、適度な距離感を保つことを心がければ、ストレスは軽減されて仕事の効率が上がり、父の信頼を勝ち取れるだろう。長い目で見れば、それこそが経営を強くする何よりの近道で、強化した経営を継承できれば、自分のやりたい経営を進めやすくなるのだから。
二つ目は、後継者が自らの仕事の出来映えを評価できているかという点である。父は長年の経験から何に注目しておくべきかを身体が覚えており、農作業を上手くこなせないとつい口出ししたくなるものだ。父に不満を持つ前に、自分の「できないところ」と「できるところ」を明確にし、自己採点をするクセをつけよう。そして、できないところは積極的に上達するように訓練することを勧めたい。その姿こそ「うるさい親父」を沈黙させる唯一の方法だと思う。現時点の父と比べて優る点を自信の拠り所にしていると、小言がさらに加わり、後継者のストレスは倍増するだけである。欠点を埋めるのはしんどいが、経営の舵取りを任される前に手腕を磨く機会と捉えれば、その努力が無駄になることはないと信じるほうが賢いはずだ。
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齊藤義崇 サイトウヨシタカ
1973年北海道生まれ。栗山町在住。昨年、普及指導員を退職し、実家の農業を2014年から営む。経営は和牛繁殖、施設園芸が主体。普及指導員時代は、主に水稲と農業経営を担当し、農業経営の支援に尽力した。主に農業法人の設立、経営試算ソフト「Hokkaido_Naviシステム」の開発、乾田直播の推進、水田輪作体系の確立などに携わる。
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