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イベントレポート

オランダ通信・拡大版/『農業経営者』セミナー


オランダという国にこだわらないのは、国を越えた人の行き来が活発なことがある。移民も多く、最大の都市アムステルダムの人口の約半数は移民である。またEU域内の他国から繁忙期だけ働きに来る人も多い。
またオランダから他国に移住して農業をする人も増えている。アジアやアフリカにオランダの酪農関連会社から、現地の搾乳量を上げるためオランダ人が講師として派遣されているケースもある。紀平氏の知り合いにも、将来は日本に移住して農業を営むことを視野に、日本の農業法人に就職した人もいるという。
また土地や機械・設備を所有することにもこだわりがなく、そのときの状況に応じて売買している。オランダでは、日本のように代々継承するよりも土地や施設を売り渡す人も多いという。また機械と労働力を提供するコントラクターが多いのもオランダ農業の特徴である。紀平氏が訪問したある酪農家では、260頭の乳牛の管理と100haの牧草地の管理、35 haのデントコーン栽培をしているが、人手は経営者1人とパート2人だけだったという。なぜそんなことができるのかというと、デントコーンの収穫はコントラクターに委託しているからである。オランダでも農業者人口が減少するなか、規模拡大している農業者にとっては、自社で機械を所有しオペレーターを雇ったほうが利益になる。紀平氏が取材したコントラクターによると、今後は技術と労働力だけを提供するコントラクターも増える見込みだという。
「コントラクターだけでなく近所同士の機械の貸し借りであっても、価格や条件を交渉し合い、非常に細かく設定されているのがオランダ人らしいところです」
ただし、強いと言われるオランダ式農業にも近年課題が浮上してきている。施設園芸の投資やランニングコストが負担となり経営が維持できないケースもある。オランダの施設や技術を輸出し、他国の安い労働力で生産していることによって、自国よりも低価格の農作物が輸入され、それがオランダの農業を圧迫するという現状もある。

アイデアはまず実践してみる

三つめは、オランダ人はとりあえずやってみよう。だめだったらやめようという気質の人が多いということだという。
近年は、社会貢献をコンセプトとしながら、きちんと利益を出す新ビジネスが増えているという。たとえば大手スーパーマーケットで売れ残った生鮮食品を加工したレストラン、ケータリングサービスがある。食料廃棄を減らしながら、低コストでつくり安価に提供できるというものだ。ほかにも利益が出る自然エネルギー売買システムや動物愛護者から理解を得るためのシステムなど新しい切り口で新たな農業のビジネスを展開している例がある。

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