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『農村がすたり、都市がすさぶ』状況に私は「大阪化」という言葉を当ててみました。大阪は明治維新の後、官製の「文明開化」を市民が受け止め享受して大都市化したところといっていいでしょう。金融業と流通業は「堂島」のベースがありました。また、軽工業が町場に広がり、家庭電化製品の工場では、日本で最大の集積地になりました。農地は、拡大する工業製品の工場に雇用される労働者の住まいや、都市化に必要な道路などの施設に転用されていったのです。
【後背地に農地を持たない都市の悲哀】
工業部門の盛りは30年といわれますが、大阪の主産業の家庭電化製品の工場がアジア各国に移っていきますと、まず、労働者の賃金カット(非正規工の蔓延)が進み、次に工場がなくなります。人々の見る世界が将来の明るい姿でなく、過去の栄光になります。
食と農が、地域の産業の中でベースにできていれば、21世紀のサスティナブル社会に大きな期待を描くことができるはずです。
政府が、TPPやEPAを急ぐように工業製品に肩入れした政策から脱皮できないとしたら、人口の1/2が住まう農村部は、自給圏というバリアを築いて守ることを急がねばなりません。その政策は保護主義ではありません。自給圏地域内でも自由な競争は確保されており、域外産品があることが貢献しているからです。
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松尾雅彦 マツオマサヒコ
カルビー(株)
相談役
1967年カルビー入社。宇都宮工場長、取締役を経て、80年カルビーポテト設立と同時に社長就任。北海道を中心に全国でジャガイモの契約栽培と貯蔵体制を確立し、ポテトスナック原料調達システムを整備する。92年カルビー社長、06年から相談役。08年10月食品産業功労賞受賞。NPO法人「日本で最も美しい村」連合副会長を務める。
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