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特集

地理的表示保護制度という選択

産地が品質を保証するための仕組みを構築する新たな地域ブランド制度「地理的表示保護制度」が施行されて3年目、今や全国で38産品が登録されている。6次産業化が点から発生する取組みであるとすれば、地理的表示保護制度は面としての取組みであり、期待される役割は大きい。他方、品質を保証するためのルールづくりや合意形成など産地の努力も必要とされる。制度を選択した産地の決断と実際を追った。 (監修/(株)結アソシエイト・松田恭子)

地理的表示保護制度とは何か?
松田恭子

地理的表示保護制度とは何か? 6次産業化プランナーや地理的表示保護制度活用支援窓口の統括アドバイザーの一人として支援を行っている民間農業コンサルタントの立場から、制度の特徴と活用について考察する(支援窓口であるGIサポートデスクの公式見解ではない)。

【1:地理的表示保護制度の特徴】

基本(1)
地名+産品名を地域の共有財産として保護する制度である
地理的表示(GI……Geographical Indication)とは、地名と産品名が組み合わさった農水産物・食品の名称で、その名称を聞けば特性や産地を思い浮かべることができるものを指す。地理的表示保護制度(GI制度)とは、その名称を地域共有の財産として保護していこうというものだ。世界100カ国を超える国で導入されているGI制度は、日本では平成26年に法律が成立し、平成27年6月から申請を受け付け、現在38産品が国に登録されている。
基本(2)
ブランドを守るための品質保証の仕組みを持っている
地理的表示保護制度が従来の他の地域ブランド制度と大きく異なるのは、「品質保証」の仕組みを持っていることだ。生産者団体は、名称(地理的表示)が示す生産地の範囲や品質等の特性を自ら定義し、その特性に影響を与えるような生産方法の基準を決める。
登録された後は、基準を満たした産品だけに名称と日本の真正な特産品としてGIマークをつけて出荷する。偽物が出回ったときに国が取り締まるため、消費者はGIマークを手掛かりにすれば偽物をつかまされることもなく、生産者団体が保証する「良い商品」を買うことができる。
なお、これまで培われてきたブランドの信用を守るための仕組みであるため、産品が一定期間(概ね25年以上)生産されていること、名称が実際に使用されていることが申請の基本的な要件となる。
基本(3)
産品の特性を自ら定義する
そのために、申請団体はまず、産品の特性を自ら定義するところから始める。「特性」を説明することは、GI制度に限らず、生産者や産地が苦手とするところだ。「食べてみればわかる」「その年によって違うから説明できない」「他所とそんなに違わない」という説明では、GI制度に限らず日頃の商談でも通じない。

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